《ブラジル》ロライマ州パカライマ=ベネズエラ人1200人脱出=ブラジル人の襲撃にいたたまれず

ロライマ州での抗争などを受けて開かれた緊急会議(Alan Santos/PR)

ロライマ州での抗争などを受けて開かれた緊急会議(Alan Santos/PR)

 ベネズエラと国境を接するロライマ州パカライマが荒れており、18日に起きたブラジル人からの攻撃後、身の危険を感じたベネズエラ人約1200人が母国に帰ったという。

 19、20日付ブラジル国内紙やサイトによると、混乱を招いたきっかけは、17日に起きた、同市の住人一家襲撃事件だ。報道によると、ベネズエラ人の4人組が地元のブラジル人の家に侵入し、55歳の商人に暴行後、2万3千レアルを奪って逃走した。商人は頭部にケガをし、入院中だ。

 この事件で立腹した同市住民は、18日にベネズエラ人増加に反対する抗議行動を起こした。だが、それだけで収まらなかった住民らが、ベネズエラ人の収容施設や彼らが作った小屋、ベネズエラ人が集まる広場などに、手製爆弾や石を投げ込み、ベネズエラ人に暴行を加えたりした。ベネズエラ人の一部は国境の向こう側まで追い立てられ、所持品を焼き払われたりした。また、ブラジル人側の暴行に抵抗するベネズエラ人も出、ブラジル人側に負傷者も出た。

 ロライマ州政府は、パカライマの病院に職員や医薬品を送った他、連邦政府に、州内のベネズエラ人移民の他州への移送や、国境の一時封鎖などの緊急措置を求めた。20日には再び、ブラジル人とベネズエラ人の間でこれ以上の抗争や流血の事態が起きるのを避けるため、最高裁に国境の一時閉鎖を要請した。また、国境に到着する新着移民に予防接種を受けた証明書の提示義務化も求めた。

 連邦政府は19日、国家治安部隊員120人の増員を決めた。60人は20日朝、ボア・ヴィスタに到着。パカライマに向かった。26日は、大学病院の支援による医療関係のボランティア36人も派遣される。

 他方、軍は19日、18日の抗争後、ベネズエラ人約1200人が母国に戻ったと発表した。

 また、ブラジル外務省はベネズエラ外務省と連絡をとり、同国内のブラジル人が無事帰国出来るよう、配慮を求めた。ベネズエラ外相は、「人種差別的な意見に凝り固まった人々が嘆かわしい行動を煽っている。自国民の窮状調査のため、領事館職員をパカライマに派遣した」と述べた。

 ブラジル連邦政府は、20日も引き続き、ベネズエラ人問題について話し合う事になっている。