ブラジル コカ・コーラ=「ブラジル撤退も」と政府に圧力=国内価格8%上昇の可能性も

多くのブラジル国民はコカ・コーラが大好き。燃料不足の際も、「ガソリンは止まってもいいから、コーラは止まるな」との冗談も出たほど

多くのブラジル国民はコカ・コーラが大好き。燃料不足の際も、「ガソリンは止まってもいいから、コーラは止まるな」との冗談も出たほど

 飲料大手コカ・コーラ(C)社は、5月に発生したトラックストの前まで享受していた、マナウス経済特区(ZF)での恩恵を回復させない限り、同地での生産をストップさせると、連邦政府に圧力をかけていると21日付ブラジル国内紙が報じた。

 6月末には既に、ブラジル飲料工業会(Abir)を通じて、この申し入れは伝えられていた。AbirはC社の他にもAmbevやペプシなど、59社の国内飲料メーカーを束ねている。

 C社は国民的人気を誇る清涼飲料水、コカ・コーラのシロップ(原液)をZFで生産しており、それを国内のボトル詰め業者に卸している。

 ブラジル政府は6月末に、同シロップにかかる工業製品税(IPI)の税率を20%から4%に下げた。これは一見、飲料企業にとっては減税だが、ZFで生産活動を行う飲料企業はIPIを免除されており、20%分のIPIはボトル詰め業者に卸す際の利ざやになっていた。

 C社を中心とした飲料業界は、「IPIは最低でも15%はないと、ZFで生産する利点がない。IPIを15%に引き上げないならば、ブラジルから出て、他国で生産することも辞さない」と圧力をかけている。大手飲料各社がZFから撤退した場合、現地のブラジル人1万5千人分の雇用に影響が出る。

 14日にはC社のブラジル支社長エンリケ・ブラウン氏が、ジョルジ・ラシジ連邦国税局長と面会している。C社は既に、要求が通らない場合はブラジルでの生産を取りやめ、税制優遇措置をとってくれる別の国で生産することもありうるとしており、フォーリャ紙は、コロンビアの可能性を指摘している。

 C社がブラジルから撤退した場合、原液を輸入しなくてはならず、国内でのコカ・コーラ価格は8%上昇する可能性がある。

 ブラジル政府は、ZFでの生産をやめれば、C社は全ての税金を払う必要が生じる上、国外に生産拠点を設ければ、ブラジル国内のボトル詰め業者がC社から原液を輸入する場合に関税を払わなければならなくなって、ブラジル市場でAmbevやペプシに遅れをとるから、「特区での生産をやめる」というのは〃はったり〃だと見ている。フォーリャ紙も、C社が生産を他国に移すと、ブラジル国内の法人税割引などの特典を失うため、C社のブラジル撤退は現実性にかけると分析した。

 また、関係者筋からは、「政府がIPI税率を引き上げても、せいぜい5・5%程度だろう」との声があがっている。