商議所昼食会=農水産物輸出、20年迄に1兆円=宮腰補佐官「規制の問題は報告を」

昼食会で講演した宮腰補佐官

昼食会で講演した宮腰補佐官

 ブラジル日本商工会議所(松永愛一郎会頭)による「8月定例懇親昼食会」が17日、サンパウロ市内ホテルで開催された。今回の講演では、来伯中の宮腰光寛内閣総理大臣補佐官が出席し、「日本の農林水産物・食品について」講演を行った。

 宮腰補佐官は、まず世界市場における日本の農林水産、食品加工業の現状を概説。農林水産総生産額が世界10位に対し輸出は52位であり、生産供給構造が国内に偏重していることを指摘。内需縮小に反して世界市場が拡大するなか、農林水産物の輸出振興が経済成長に繋がるとした。

 政府は農林水産物の輸出を国家戦略として位置づけ、20年までに1兆円を目指す。農林水産物の輸出は5年連続で増加し、昨年度は8071億円に上る。「昨年後半からは円高にも係らず、伸張。目標達成が見込まれエンジンがかかった状況にある」と形容した。

 また、最近の動向として、世界で売れている日本食品群を紹介。ロシアのボルシチに使われる、日本では売れない大きさの小玉玉葱などを例に、「現地のニーズを探ればチャンスはある。アンテナを張りながら、何が売れるかを模索している最中だ」とした。

 そのなかで、政府が注力する取組みとして、海外市場でのブランド化及び促進に特化した輸出援助機関として昨年4月に「日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)を設置したことに言及。第一次テーマとしては和牛など7つの重要食品を設定し、「需要を喚起する取組みをしてゆく」とした。

 最後に「輸入規制の緩和や撤廃は政府の役割。皆さんがブラジルで景気の荒波に揉まれて頑張っておられると聞き、胸にくるものがあった。日メルコEPAの早期交渉を視野に入れてやっていかなければいけないと痛感した」と語り、「毎月、規制に関する問題は吸い上げて、政府で共有できる体制になっている。どんな些細なことでも遠慮なくJETROまたは在外公館に報告を」と呼びかけた。