10歳のストリート・ゴスペル少女が大人気 LGBTにまで大きな支持層

 現在、サンパウロ市内では、日曜の昼に最大の繁華街パウリスタ大通りでストリート・パフォーマンスを行う、10歳の黒人のゴスペル少女が大人気だ。

 話題の少女はヴィットーリア・デ・デウスちゃん。その名も「神の栄光」という、ゴスペルにはうってつけの名前だ。彼女は毎週日曜の昼に、小さなカラオケ機1台をバックに、マイクを持ってゴスペルを熱唱。必要を訴える人々がいれば、祈り、聖書の言葉も語る。その姿が道行く人の間で話題を呼び、ネットを中心に大きな話題を呼んでいる。

 ヴィットーリアちゃんのインスタグラムには32万人、ユーチューブには2万6千人の登録がある。現在、ブラジルで屈指の人気女性歌手アニッタも、噂を聞きつけ、友達になっている。

 そんな彼女には、意外なファン層までついている。それがLGBT(同性愛者や両性愛者、トランスジェンダー)の集団だ。ヴィットーリアちゃんがパフォーマンスを行うパウリスタ大通りはゲイ・パレードが行われる場所で、その近くのフレイ・カネッカ街もゲイたちのたまり場として有名だ。ヴィットーリアちゃんはそこに集るLGBTの心をもとらえたのだ。

 もっとも、信心深い彼女は当初、ゲイのことが嫌いだった。以前はネットに「アダムとエヴァは男同士じゃない」と書いたことがあったほどだ。

 だが、それは、〃ある共演〃を機に変わった。それは、トランスジェンダー(性転換者なども含む性同一性障害者)の歌手レディ・チョーキーが申し出たものだった。チョーキーはトランスに加え、体重が150キロあることでも有名なリオ出身のファンキ歌手だ。

 ヴィットーリアちゃんはこの申し出を受け、レコーディング・スタジオでチョーキーと一緒に「ソブレナチュラル(超自然的なもの)」という曲を歌った。

 この模様を録画した動画は7月16日にユーチューブにあげられ、1カ月余りで270万回の再生を記録する大ヒットとなった。この影響で、ヴィットーリアちゃんは「あのビデオの子」とまで呼ばれるようになっているという。

 ヴィットーリアちゃんは以来、LGBTに対して大いに寛容になっている。彼女によると、福音派の教会の中にはこの共演に反対する声が強かったという。「偏見のせいで、嫌なこともたくさんあったけど、でも、前に進んでいるわ」と言う。

 ヴィットーリアちゃんはまた、「歌手もやるけど、弁護士にもなりたいの。だから一生懸命勉強もしているの」と語っている。

 両親は離婚しており、現在は、ブリキ職人でゴスペル歌手でもある父や4人の兄弟と共に、サンパウロ州スザノ市に住んでいる。生まれ故郷のペルナンブッコ州に住む母に関しては、「いつか近くで住んでみたい」と語っている。(27日付フォーリャ紙より)