サンパウロ州=黄熱病の死者は昨年の4倍=予防接種率低迷で懸念広がる

  サンパウロ州保健局によると、今年に入ってからの黄熱病の死者は8月17日までで176人に上り、既に昨年1年間の死者38人の4倍を超えている。

 今年の死者は、7月4日に報じられた、昨年1月以降の死者213人の時点より1人増えただけで、全てが野性型の感染による死者だ。

 だが、州保健局が懸念しているのは、現在の死者や患者の数ではなく、予防接種率が伸びない事だ。予防接種実施率は、95%の目標に対し、70%と低迷している。

 特に懸念されているのが、年頭に黄熱病で猿8頭が死んだ州立セーラ・ド・マル公園(カラグアタツーバ市)を含む、北部海岸だ。

 冬の間は蚊の活動も低下し、山歩きをしたりする人も少ないが、気候が変わり、黄熱病のウイルスを持つ猿がいる森林地帯などに入る人が増えれば、黄熱病罹患者が再び急増する可能性がある。

 州保健局で感染病予防を担当するサトウ・エレナ氏は、予防接種の実施率は、サンパウロ州だけでなく、全国で95%を超える必要があると強調する。それは、黄熱病の予防接種を受けていない人がウイルスを持つ猿のいる地域に行き、感染して帰って来る事で、黄熱病が拡散する可能性があるからだ。

 23日には、2016年12月から今年の3月までに全国で生じた黄熱病による死者は676人で、2千人以上の患者が出たが、この流行の発端は、ブラジル北部にあるアマゾンの森林地域にいるウイルスが2016年初頭にミナス州にもたらされ、近隣諸州に拡散したためと報じられた。

 専門家は、ブラジル南東部は黄熱病の発生が少なかったため、予防接種が徹底しておらず、今回の流行を招いたと説明。そういう意味で、人々が森林地帯に入ったり、旅行したりする機会が増える前に、予防接種を受けるよう、改めて推奨されている。(29日付G1サイトより)