《ブラジル》上半期の交通事故死者1万9千人=965億レアルに及ぶ損失計上

バスとの事故で大破した乗用車(参考画像、Jefferson Santos/Notícias Vale do Itajaí)

バスとの事故で大破した乗用車(参考画像、Jefferson Santos/Notícias Vale do Itajaí)

 保険経済調査センター(CPES)が12日、ブラジルでは上半期に1万9298人が交通事故で死亡し、2万人が恒常的な障害を負ったとの統計結果を発表した。
 交通事故の死者は、18~65歳の男性と、バイクの運転者に多い。また、事故の主な原因は、啓蒙活動の不足と遵法精神の欠如、速度違反、飲酒運転、無理な運転、走行中の携帯電話の使用だという。
 CPESの調査員で経済学者のナタリア・オリヴェイラ氏は、「法律はあるが、守らねばならないという意識が低く、周りの人や車への敬意を欠いている。また、事故を起こせば、どれだけの経済的な損失が生じるかを知ろうともしない」と嘆く。同氏によると、事故を起こした人の75%は男性で、18~65歳という経済活動年齢の人は90・5%に及ぶ。
 交通事故で死亡した人や障害を負った人が、事故さえなければ生産していたはずのサービスや財を金額に換算した数字(命の統計的価値・VEV)は965億レアルに達したが、昨年同期の1030億レアルと比べると7%減った。
 CPESによると、交通事故の被害者への賠償向けの強制保険(DPVAT)の指数から見た死者の数は1万9298人で、昨年同期の1万9367人とほぼ同数だが、恒常的な障害を負った人の数が、昨年同期の2万3938人と比べ、16%減ったという。
 アマゾナス州では昨年同期比27%、ロライマ州では同25%、マット・グロッソ州でも同22%など、損失額が昨年同期比で大幅に増えた州もある。損失額が減った州は、リオ・グランデ・ド・スル州26%、アクレ州24%、アマパー州23%などだ。リオ州は3%増えたが、サンパウロ州は7%減っている。
 地域別の損失額は南東部が最大で、367億レアルの損失が生じた。損失額最少は北部だが、それでも58億9千万レアルの損失が生じた。
 また、シートベルトやチャイルドシートの着用の重要性、走行中の携帯電話使用の危険性なども再度、強調された。また、法律で定められていても、守られなければ意味がないと、苦言も呈せられた。
 種々の情報は、啓蒙の意味も込め、9月18~25日の交通事故防止キャンペーンに先立って発表された。(12日付アジェンシア・ブラジルより)