ACEAS60周年で変革!=日伯学園、新たに幼稚部設置=文化祭りで近隣団体と協力

ステージでは様々な芸能が披露された

ステージでは様々な芸能が披露された

 汎スザノ文化体育農事協会(ACEAS、高木政親会長)は『第9回文化祭り』を今月15、16日に同会館で開催した。記念すべき「創立60周年」を迎えたACEASは、今年から同祭に近隣団体の参加を促したり、傘下のスザノ日伯学園に幼稚部を設けるなど、さらなる発展に向け改革の動きを見せている。

 文化祭りには近隣住民や学園の生徒とその親などが来場し、ステージで行われた太鼓や踊りなどの演目、歌手の平田ジョーさんによる歌謡ショーなどを楽しんだ。ステージがある建物の内外で焼きそばやうどんなどの日本食が販売された。
 これまでは同協会婦人部が主に食事を提供していたが、今年からは日伯学園やスザノ金剛寺も出店。収益の一部を同協会に納める形に変えた。
 昨年就任した高木会長は「学校も他の団体も運営費を得るために協力し合った方が良い。様々な団体が参加することで、新しいお客さんも来てくれる」と話す。
 会場内にはスザノ日伯学園と金剛寺学園、スザノ文協の日本語クラスの生徒らによる習字や日本語の絵作文、絵画などが展示された。祭り2日目には優秀作品をつくった生徒への表彰式が行われた。
 同学園は今年1月に幼稚部を開設し、現在4歳と5歳の24人が通う。高木会長は「近郊に幼稚部を持つ一貫校が他にある。これまではその年齢層の子供を取り込めていなかった。日伯学園に幼稚部ができたことで、4歳から9年生(14歳)まで通ってもらえる」と開設の意義を語った。
 同学園の安楽恵子校長は「1年生(6歳)の生活レベルを同水準にそろえることを目指している」と話す。家庭や幼稚園によっては生活指導を全くしないところがあり、入学時に大きな差が出ていた。「授業中に椅子に座っていられない、ペンの持ち方がわからない、自分で食事ができない。そういった児童への生活指導が教職員に大きな負担となっていた」と言う。
 幼稚部では4歳から生活指導、5歳から読み書きの初歩を教える。約半数は午後の部で日本語を学ぶが、安楽校長は「日本語以上に日本的なしつけが重要。これはすべての児童に指導している。食後に食器を流しに持っていくとか、日本で当たり前とされていることを身に付けてほしい」と話す。
 当地では、親が子供に過保護なことが多く、厳しいしつけは歓迎されないという。幼稚部のコーディネーターを務めるマルシア・フェルナンデスさんは「少しずつ指導して厳しすぎないように配慮している。2カ月に一度、保護者と面談する。賛同の声は多いがクレームは無い」と言う。

川野さん親子。絵を描くことが好きなマイーザちゃんは絵画で優秀賞を受賞した

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 保護者の川野マリアさん(42)本人は非日系人で、日系二世の夫と4人暮らし。5歳の長男エドワルド君を幼稚部に通わせていて「しっかりした指導のおかげで、家でも行儀正しい」と言う。
 もともと8歳の長女マイーザちゃんが学園に通っていて、勉強や美術に熱心に打ち込むのを見て、息子も入れようと決めた。「二人とも学園が好きだといっている。規律があって楽しい生活が子供たちの心を育んでいる」と満足そうに話した。

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 現在、スザノ日伯学園に通う子供の数は幼稚部も含めて450人。5年ほど前は600人いたが、景気後退で授業料が無料の公立学校への転校が相次いだ。高木会長は「こういう時だからこそ他の日本語学校との連携が大切だ」と強調する。ともすれば生徒の取り合いになりかねない金剛寺日本語学校やスザノ文協の日本語クラスと協力し、「文化祭り」などのイベントを推進してきた。「ひとつひとつが大きい団体ではないので、力を合わせて日本語や日本式の教育を活性化させたい」と話した。