《ブラジル》保健・医療分野でも偽情報=予防接種受けさせない親も=麻疹の死者は9人に増える

ポリオと麻疹の予防接種キャンペーンについて記者会見する保健省関係者(José Cruz/Agência Brasil)

ポリオと麻疹の予防接種キャンペーンについて記者会見する保健省関係者(José Cruz/Agência Brasil)

 保健省が20日から、フェイスブックやツイッターを通じ、一般に流布している保健・医療関係の情報の真偽を明らかにするキャンペーンを始めたと20日付現地紙が報じた。
 同省は6カ月前からインターネット上で流れる保健・医療関連の情報を調査しており、誤った情報を含んだり、科学的な根拠のない内容を盛り込んだりした偽情報(フェイクニュース)が公的な政策にも影響を及ぼしている事を懸念していた。
 保健省が偽情報と判断したニュースの約90%は予防接種は危険を伴うというもので、それを見聞きした親が子供に予防接種を受けさせないという反応が実際に起きた。中でも多かったのは、乳頭腫を形成する小型のDNAウイルスで、発癌の原因となるウイルスの一つともされる、ヒトパピローマウイルス(HPV)の予防接種に関する偽情報だった。また、偽情報を流布している人の20%は予防接種反対運動参加者だという。
 また、「病気を治す奇跡の食物」的なニュースや、エイズ(後天性免疫不全症候群)はヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染したバナナを食べてもうつるといったニュースも相当数流れている。
 保健省担当者は毎日7千件のニュースを調べており、偽情報はフェイスブックやツイッターに掲載。ワッツアップ(61・99289・4640)でも、真偽確認要請に対応する。
 偽情報と確認されたものは同省サイト(saude.gv.br/fakenews)にも掲載済みだ。選挙後はワッツアップのグループも作り、情報を流すという。
 予防接種は危険との情報は、8月に始まり、期間延長(州や市によっては2度)もあった、ポリオ(急性灰白髄炎)と麻疹(はしか)の予防接種キャンペーンや、黄熱病の予防接種キャンペーンにも影響したという。
 17日の保健省の発表によると、全国での予防接種率は、ポリオ95・4%、麻疹95・3%で共に目標の95%に達したが、1歳児の接種率は88%で、51万6千人が未接種だという。
 目標未達成の州や市は28日までに最終報告を出す必要がある。麻疹流行中のアマゾナス州保健局は19日、ポリオの接種率は95・05%、麻疹は97・41%に達したと発表した。
 保健省によると、17日現在の麻疹患者は1735人、死者も9人に増えた。州別患者数は、アマゾナス1358人、ロライマ310人、サンパウロ2人、リオ18人、リオ・グランデ・ド・スル24人、ロンドニア2人、ペルナンブコ4人、パラー13人、セルジッペ4人。死者はアマゾナス、ロライマ各4人、パラー1人となっている。アマゾナス州での死者は全員ブラジル人だが、ロライマ州での死者の3人はベネズエラ人の子供だ。9人目の犠牲者となったパラー州での死者は、ベネズエラ人の先住民だった。