《サンパウロ州》22日はチエテ川の日=汚染流域は8キロ減少=水危機後、投資額伸びず

チエテ川下流のピラポラ・ド・ボン・ジェズスでは、川面の泡が橋を覆い、街中に流れ込んだ事もある(Rafael Pacheco、22/06/2015)

チエテ川下流のピラポラ・ド・ボン・ジェズスでは、川面の泡が橋を覆い、街中に流れ込んだ事もある(Rafael Pacheco、22/06/2015)

 22日が「チエテ川の日」である事にちなんでか、21日付エスタード紙やG1サイトが、チエテ川の汚染状況などを報じた。
 SOSマッタ・アトランチカ財団による調査報告書「2018年チエテ川観察記録」によると、汚染が酷く、毎月の調査で水質が悪、最悪と判断された流域は、1年間で8キロ減り、122キロになったが、全長1150キロのチエテ川の流域中、11%はまだ極度に汚染されている事になる。
 これらの流域は、生活排水や工業排水、肥料や農薬などを含んだ雨水や地下水などが流れ込み、水中の酸素含有量が落ちている。肥料などが流れ込んだ流域では藻などが大量発生し、水中の酸素量がほとんどゼロになり、魚が大量死する事もある。
 エスタード紙の記事の冒頭に出てくるサウト市は、サンパウロ市から73キロの所にあり、3年前、40トンの魚が死ぬ事件が起きた。現在は、川岸にアヒルやさぎなどが見られるようになり、亀やかわうそも姿を見せ始めた。悪臭もほとんど消え、川が滝状になっている場所を訪れる人も増えた。現在の水質は普通だが、川面には洗剤成分などで出来る白い泡がまだ浮かび、泳ぐ人もいない。
 チエテ川の水質を、5段階に分けた場合、最良にあたる流域はゼロ。良にあたる流域も、94の流域中、5・4%にあたる6カ所のみだ。
 浄化が最も進んだ2014年は、浄化計画に6億3556万レアルが投じられ、汚染流域も71キロに減ったが、15年の汚染流域は154・7キロに戻った。同年以降の投資は4億レアル前後で、汚染流域減少も、137キロ、130キロ、122キロと緩やかだ。
 SOSマッタ・アトランチカでは、水源地のサレゾポリスからイタクアケセツーバまでの水質は良と出ると期待していたが、少雨の影響か、普通で終ったという。
 なお、サンパウロ州水道公社はこの報告後、17年9月~18年8月の汚染流域減少は、バルエリ下水処理場の処理能力が毎秒9千リットルから1万2千リットルに拡大された結果と説明。処理能力拡大で、1日8トンの垂れ流しが止まったという。また、チエテ川浄化計画初年の1992年の汚染流域530キロが408キロ減の122キロになったと自画自賛した。
 また、水危機以後、下水処理用の投資を水供給用の投資に振り替えたのは事実だが、浄化計画は継続中と釈明。15年の汚染流域増加は、14年は少雨で路上のゴミなどが川に流れ込まずに済んだが、15年は2~3月の大雨などで、川に流れ込むゴミが増えたせいもあるとしている。