統一選サンパウロ州=戦後初、コロニア関連が全員落選=飯星、太田、安倍氏ら涙呑む=パラナ州では西森氏当選

日系社会に関係ある州、連邦議員の当落者

日系社会に関係ある州、連邦議員の当落者

 大統領、知事、連邦上下院、州議会議員を選出する統一選挙の投開票が7日に行われ、サンパウロ州の日系社会と関係を持つ連邦下議、州議が全員落選するという悲しい事態となった。ただし、コロニアを基盤としない候補は当選しており、日系社会の弱体化を印象付ける結果となった。なお、パラナ州では西森ルイス氏(PR=共和党)が今回も当選を決めている。

 サンパウロ州の連邦下議選で当選した70人のうち、キム・カタギリ氏は4番目の得票数、46万5310票、得票率2・21%を記録した。現在22歳のカタギリ氏はブラジル民主運動(MBL)の指導者として反汚職デモなどを先導してきたが、日系社会とは接触のない人物だ。
 日系社会と関係を持つ日系連邦下議の飯星ワルテル氏(PSD)、大田慶子氏(PSB)、安倍順二氏(MDB)、伊波興祐氏(PROS)らは、残念ながら涙を飲む結果となった。
 パラナ州で連邦下議選に当選した西森氏は今回当選した30人の内、7万3344票、1・26%を記録。しかし高山秀和氏(PSC)は5万3466票、0・93%で落選した。
 サンパウロ州議にはマルシオ・ナカシマ氏(PDT)、コロネウ・ニシカワ氏(PSL)が当選しているが、今のところ日系社会ととくに接触はない。
 日系社会のイベントにも頻繁に出席して交流を深めていた西本エリオ氏(PSDB)、羽藤譲二氏(MDB)、野村アウレリオ氏(PSDB)、小野ジャミール氏(PATRI)、ペドロ・カカ氏(PODE)、安倍ジュリアーノ氏(MDB)、関谷ロベルト氏(PSB)はみな落選となった。
 なお、パラナ州でも当選した日系州議はゼロ。
 サンパウロ州では、1954年10月3日に田村重幸氏が日系人で初めて連邦初日系議員に当選以降、州議会、連邦下議に当選する日系人が現れはじめた。62年には野村氏に加え平田進、宮本実氏も当選。またサンパウロ州議に野村丈吾、京野四郎、内山良文、森本アントニオ氏が当選した。野村氏は74年に連邦議員当選に当選、94年まで活躍。90年代は具志堅ルイス氏らが在籍したのを筆頭に、今世紀もつねに最低一人は在籍していた。
 今回のサンパウロ州選出の下院議員選には、アジア系候補が推定32人、州議選には推定28人出馬していたが、当選者はこの4人のみ。韓国系、中国系候補も軒並み落選した。

□関連コラム□大耳小耳

 州、下議選は非拘束名簿式比例代表制で行なわれるため、まず党ごとに得票数を集計して議席数が割り振られ、各党の中で得票数が多い人から順に当選していく。そのため、今回5万1914票を獲得したにも関わらず落選した西本エリオ州議のように、個人の得票が多くみえても落選することがある。例えば、西本氏が所属するPSDB党にはサンパウロ州議選の94席中8席が与えられていた。8席目には6万5475票を獲得したマウロ・ブラガット氏が当選し、そこに届かなかった西本氏は涙を呑んだ。対して、コロネウ・ニシカワ氏が所属するPSL党では、ジャナイーナ・パスコアウ氏が一人で、史上最多の約206万票も集めたために15席も与えられた。ボルソナロ・ショックの一環といえそう。そのため、得票2万台と少なかったニシカワ氏もおこぼれをあずかって当選。サンパウロ州議会では56席が入れ替わったが、揺れ動くサンパウロ州をしっかりと支えて欲しいところ。