18日よりサンパウロ国際映画祭=今年の目玉作は?

 18日より、今年で42回目を迎える、毎年恒例のサンパウロ国際映画祭が開催される。
 「モストラ」の愛称で親しまれている同映画祭は、サンパウロの映画通にとって不可欠ともいえるイベントで、毎年のように「見放題パス」「チケット40本セット・クーポン」「20本セット・クーポン」が、開催するかしないかのタイミングで売り切れる。
 それは、この映画祭が紹介してきた映画のクオリティの高さに対する映画ファンの信頼の証でもある。同映画祭は古くから、「カンヌ、ベルリン、ヴェネツィア」の三大映画祭で評判をとった映画が一足早く見られることで有名で、翌年2月の米国アカデミー賞(オスカー)の有力候補の作品を見ることができるからだ。
 そんな中、今年は特に楽しみな作品が多い。まずは、ヴェネツィア映画祭で大賞の金獅子賞を受賞した「ローマ」。これは、2014年に「ゼロ・グラヴィティ」でオスカーの監督賞を受賞したメキシコのアルフォンソ・キュアロン監督の新作で、オスカーの作品賞の有力候補のひとつとも言われている。
 また、「ギリシャの生んだ鬼才」として、近年、その不思議な作風が話題を呼び続けているヨルゴス・ランティモス監督の「女王陛下のお気に入り」の評判も高い。
 さらに、80~90年代に「怒れる黒人」をテーマに衝撃の話題作を作り続け、時代の寵児となった黒人監督のスパイク・リーが出した久々の傑作「ブラッククランズマン」も注目作だ。この作品はカンヌ映画祭で第2位に当たるグランプリを受賞しており、黒人差別団体のクー・クラックス・クランの本部に、黒人警察官が白人のレイシストに変装して乗り込んだという、70年代の実話に基づく話だ。
 ブラジルに住む日本人、日系人としては、カンヌ映画祭で大賞にあたるパルムドールを受賞した、「万引き家族」がここでブラジル初公開となるのも注目(日本は既に公開済み)だ。「万引き家族」は来年のオスカーの外国語映画賞の日本代表作にも選ばれている。
 今回のモストラでは同賞にエントリーした20カ国以上の代表作も見ることできる。ブラジル代表の「オ・グランデ・シルコ・ミスチコ」や、国際的に有名なところでは、トルコ代表のヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督の「ワイルド・ペア・トゥリー(英語題)」、ポーランドのパヴェウ・パヴリコウスキー監督の「コールド・ウォー(英語題)」なども見ることができる。
 開催は10月31日まで。詳しくはモストラの公式サイトhttp://42.mostra.org/br/home/まで。(ギア・フォーリャより)