《ブラジル》連邦警察が幻覚剤の製造分配犯を摘発=錠剤製造機購入で足がつく

捜査のきっかけともなった錠剤製造機(PF/Divulgação)

捜査のきっかけともなった錠剤製造機(PF/Divulgação)

 ブラジル連邦警察が17日、幻覚剤のエクスタシーを製造し、郵便で全国に送っていたグループを摘発する作戦を敢行し、4人を逮捕、薬剤や錠剤製造機、連発銃などを押収したと同日付現地紙サイトが報じた。
 イプステル作戦と命名された摘発作戦では、25人の警官が、パラナ州クリチバ市など、複数の州で逮捕令状と家宅捜査令状を執行した。一時逮捕された容疑者は4人、内1人はパラナ連邦大学の学生だった。ヴィニシウス・オリヴェイラ・ビンダ警部によると、製造と郵送に携わっていた二人は夫婦だという。
 容疑者達は外国製の機械で作った錠剤を、クリチバ市内の郵便局から、連邦直轄区やアマゾナス州、マット・グロッソ州、南マット・グロッソ州、エスピリトサント州などに送っていた。
 エクスタシーは、メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)という化学物質にアンフェタミンやカフェインを加えて作った幻覚剤で、共感作用や幸福感、社交性が向上、眠らなくても平気などといわれる。MDMAが機能する3~8時間の間に大量のセロトニンを壊すため、効果が切れると、ひどい薬酔い状態や抑うつ感、異常な疲労感に襲われたりする。
 米国では1986年に麻薬取締局が違法薬物に指定したが、食品医薬局(FDA)が心的外傷後のストレス障害(PTSD)に対する画期的治療法に指定。だが、動物実験で、脳細胞の末端部分を壊し、半永久的な脳機能障害を起こす事も判明し、議論を呼んでいる。

押収された現金や連発銃(PF/Divulgação)

押収された現金や連発銃(PF/Divulgação)

 市場に出回るエクスタシー(別名モリー)は純度がまちまちで、MDMAがまったく含まれていない時もある。成分がバラバラなため、過剰摂取の危険性が高い上、休みなく踊る事で高熱や脱水症状を起こして死亡する例なども起きている。
 連警は錠剤製造機購入の情報や、大量の郵便物を発送しているとの情報で捜査を開始。ここ2カ月間で発送した郵便物は少なくとも80通。容疑者の一人の口座では、10カ月間で50万レアル以上の金が動いていた。
 連警は4人の逮捕と共に、乗用車2台とバイク1台、エクスタシー450錠、500錠の製造が可能なMDMA50グラム、2200錠の製造が可能な薬品類1100グラム、現金4万6千レアル、38口径の連発銃、錠剤製造機を押収した。