《ブラジル》「私は既に死んでいた?」=投票を拒否されて驚愕の発見

事件について報じたG1サイトの記事の一部

事件について報じたG1サイトの記事の一部

 7日に行われた統一選の一次投票で投票を拒否された男性が、自分は既に死んだ事になっており、死亡証明や墓まである事を発見するという事件が起きた。
 例年は無効票を投じてきたが、今年は誰に投票するかを決めて投票所に行ったら、死亡者名簿に名前があるとの予期せぬ理由で投票を拒否されたというのは、サンパウロ州スザノ市在住のカルロス・フェルナンド・モレノ・マンザノ氏だ。
 投票所の係員に死亡者名簿に名前があると指摘され、実際に生きていると実証する必要に駆られたマンザノ氏。手続きはまだ終わっておらず、28日の決選投票でも投票出来ないという。
 スザノ市の選挙登記所に行き、どうすればいいのかを確かめた同氏は、指示通り、国立社会保険院(INSS)へ行き、隣のモジ・ダス・クルーゼス市で死亡届が出されていた事を発見した。
 モジ市の登記所で、自分の本名が記された死亡証明と死亡宣告にアクセスした後、モジ市のサウダーデ墓地に自らの名前が刻み込まれた墓がある事も知らされた。死亡宣告にはモジ市のルジア・デ・ピーニョ・メロ病院で自然死したと書かれており、墓標にも、二つの書類に記載された通り、2017年11月28日死亡と刻まれていた。
 自分名義の店を持ち、税金も納めているが、投票出来ない上、見知らぬ人が葬られているはずの墓に自分の名前が記されているという現実に向き合ったマンザノ氏は、自分の名前が刻まれた墓に葬られている男性や、その墓に手を合わせてきたであろう人達が可哀想にさえなったという。
 マンザノ氏は警察に行き、公文書偽造として被害届けを提出。警察は指紋から、マンザノ氏が同氏名義の身分証明書の正規の所持者である事を確認してくれた。
 警察によると、死亡届を出しに来たのは友人を名乗る女性で、病院発行の死亡証明とマンザノ氏名義の身分証明書を受け取った登記所職員が死亡宣告を作成。遺体の埋葬も許可された。
 女性が提出した身分証明書は納税者番号がない旧型で、中年男性の写真が入っていた。だが、親の名前や誕生日はマンザノ氏のものと同じで、同姓同名の別人のものではないと判断した警察は、警察に追われたりしていた人物がマンザノ氏に成り代り、偽の身分証明書を持ち歩いていたと見て捜査を継続した。
 その後、ある女性が埋葬されているのは自分の息子だと申し出てきた。それによると、埋葬されたのは当時55歳だったアントニオ・カルロス・リスボア・レアン氏で、組織犯罪や窃盗、公文書偽造などで起訴、逮捕されたが、2003年にサンパウロ州モンガグア市の刑務所から脱走した人物だったという。
 警察は、マンザノ氏には家族もいるのに、友人と名乗る女性が死亡届を出し、死亡宣告も発行された事などに疑問を呈して、捜査を継続。死亡届を出した女性を探すと共に、遺体を掘り起こし、正式な身元を確認する意向だ。
 マンザノ氏は現在、今も生きている事を法的に証明する手続きの最中だが、納税者番号は有効で、税金はちゃんと徴収されているという。(25日付G1サイトより)