ブラジルGP=初の自国レーサーなしの開催=過去の栄光のF1大国も

 11日、毎年恒例のF1のブラジルGPがサンパウロ市のインテルラゴス・サーキットで開催されるが、今年はブラジルとしては残念なことに、1972年の最初の開催以来、自国レーサーが誰もいない、初めての大会となる。
 ブラジルはサッカーのみならず、F1でも世界に誇る王国として長らく知られていた。ブラジルGPにおいても、過去に国内レーサーが優勝を飾ったことが9度ある。これは同GPでドイツと並び、1位タイだ。
 その9回の優勝の内訳は、1972年、74年のF1世界王者のエメルソン・フィッチパルディが1973、74年に2連覇。75年にジョゼ・カルロス・パッセ。1981、83、87年の世界王者のネルソン・ピケが83年と86年。1988、90、91年の世界王者で、「音速の貴公子」の異名をとったアイルトン・セナが91年と93年。2006年と08年にはフェリペ・マッサが2度優勝している。
 だが、そんな栄光も、今年は途切れることになってしまった。今年はブラジルからF1レーサーが生まれなかったためだ。
 94年のアイルトン・セナの事故死以降、ブラジルのF1界はルーベンス・バリチェロとフェリペ・マッサの2人に託されていたが、バリチェロは2011年に引退。期待の高かったマッサも、2008年に僅差で世界王者を逃した後は故障に泣き続け、昨年を最後に、惜しまれながら引退した。
 かつてF1で3度の年間王者に輝いたことがあるジャッキー・スチュワート(イギリス)は、ブラジルのF1状況をこう批判する。
 「F2、F3、F4の段階では、ブラジルのレーサーはイギリスよりも強い。だが、ブラジルの場合、彼らを育成させるための資金に欠けている。そして王者もいない。それでは現状の欧州のレーサーたちには勝てない」「王者がいないことはさして大きな問題ではない。だが、F1レーサーが少なくなり、さらにいなくなっている状況が続くことは問題だ」。
 ブラジル人レーサーとしては、このほど、F2の若手レーサーのセルジオ・セッテ・カマラ(20)が名門マクラーレンの第3ドライバーとして契約を結んだばかり。ブラジルF1界の未来は彼にかかっている。(8日付アゴラ紙より)