ブラジルの予防接種率は?=各国の麻疹患者の数が物語る

 汎米保健機構が、ブラジルでの麻疹(はしか)の流行に関連して、予防接種の重要性を改めて説いた。
 ブラジルで麻疹の流行が起きているのは、ロライマ州とアマゾナス州の2州で、今年9月までに確認された患者数は、ロライマ州310人、アマゾニア州1358人、両州とも、4人ずつの死者も出ている。
 ブラジルでの麻疹流行は、ベネズエラからの移民・難民が持ち込んだウイルスが原因とされているが、2016年に世界保健機構が米州での麻疹は撲滅と宣言したにも関わらず、再流行が起きたのは、予防接種が徹底していなかったからだ。
 2017年に患者発生が確認された米州の国々は、アルゼンチン、カナダ、米国、ベネズエラの4カ国だ。
 今年10月の時点で確認されている米州諸国での患者の数は、ブラジル2192人(死者12人)、アンティグア・バーブーダ1人、アルゼンチン14人、カナダ25人、コロンビア129人、エクアドル19人、グアテマラ1人、メキシコ5人、ペルー38人、米国142人、ベネズエラ5525人(死者73人)となっている。
 ここで気になるのは、ブラジル以上にベネズエラからの移民や難民が流入しているコロンビアやペルーでの患者数が、ブラジルよりずっと少ない事だ。
 ベネズエラ人受け入れに関する最新データによると、コロンビアは約100万人、ペルーは50万人、エクアドルは22万人、アルゼンチンは13万人、チリは10万人の移民や難民を受け入れている。これに対し、ブラジルの受け入れ人数は8万5千人とされているのに、ブラジルの麻疹患者発生数は他の諸国を大きくしのいでいる。
 これは、米州大陸では麻疹撲滅と聞き、ブラジルが予防接種の徹底実施を怠っていた事の影響が大きい。ロライマ州とアマゾナス州での流行を受け、今年は麻疹の予防接種キャンペーンも行われたが、終了期日の延長を繰り返して、やっと目標の95%に達したと言うのだから、お粗末だ。
 ブラジル保健省は、本格的な夏に入る前に黄熱病の予防接種キャンペーンをと言い始めたが、こちらも、昨年から今年にかけて南東部で黄熱病流行が起きた事を受けたものだ。転ばぬ先の杖の方が安全だし、罹患後の苦しみが軽減する事を国民が認識しなければ、状況は変わらない。(8日付フォーリャ紙、9日付エスタード紙より)