《ブラジル》義手を3Dプリンターで=学生達のプロジェクト開花か

試作中の義手を手にするイタジュバー連邦大学の学生達(12日付G1サイトの記事の一部)

試作中の義手を手にするイタジュバー連邦大学の学生達(12日付G1サイトの記事の一部)

 ミナス・ジェライス州イタジュバー市の連邦大学学生らが、地域の人々の生活の質向上のためのプロジェクトに取り組み、3Dプリンターによる義手の試作などを進めている。
 イタジュバー連邦大学の学生グループ、Ex―MAchinaが、3Dプリンターでの義手作成を思いついたのは、サンパウロ州サンジョゼ・ドス・カンポス市にある人工補綴物(義手や義足など、身体の欠損部位の形態や機能を補う人工物)の製造工場訪問がきっかけだ。
 自分達が学んでいる事が地域の人達の役に立つような製品作りに活かせないかと考える一方、四肢切断などのため、毎日の生活で不便を感じている人の話も聞いてきたグループにとり、この訪問は、プロジェクト全体の方向を決める重要なものとなった。
 人工補綴物は高価で、13万レアルかかるものまである。しかし、この額は、必要を覚えている人達全てに手が出せる金額ではない。
 そこで彼らが考え付いたのが、3Dプリンターでの人工補綴物作成だ。普通の人にはなんでもない事が四肢切断などで苦しむ人には決して容易ではない事を見てきただけに、失った器官の機能を回復させ、日々の営みを容易にする助けになれるというアイデアは、非常に画期的で、地域の人達の役に立つ製品作りという方向性とも合致した。
 現在は、デジタル技術を活かして作ったプログラムで、様々な動きの研究を行うと同時に、デジタル技術を駆使して原型をプログラミングし、3Dプリンターでプラスチック型を作ったら、ピンで組み立てた後に研磨するという作業を並行。プラスチックの型には、脳神経からの電気信号を伝え、指などの部品を動かす仕組みを組み込み、考えていた通りの動きが出来るかを確かめてもいるが、人への適用にはいま少し時間がかかる。
 学生達は企業とも提携し、こうして開発した人工補綴物を無償で提供する事を考えている。
 同大学では、障害を持つ人も利用出来るような数学的なゲームの開発、点字のメニューや看板の作成、点字を覚えるための看板の作成などのプロジェクトもある。
 他方、ミナス州サンタリタ・ド・サプカイ市のInatelの学生達も、同じように、3Dプリンターで低価格の人工補綴物を作るプロジェクトを推進している。
 こちらは、義手などを作るプロジェクトを売り出し、利用者自身が人工補綴物を作り、そのメインテナンスも自分で行えるようにと考えている。
 現在進行中のプロジェクトは、上体部に障害を持つために、学校などでも孤立しがちで、日々の活動に不便を感じている子供達を助けたいとの思いから発展したもので、子供以外のグループ用の製品も開発中だ。
 技術の進歩と学生達の熱意、地域企業の協力支援が地域の人々への愛とあいまって生まれる人工補綴物が実用化される日は近いと信じたい。(12日付G1サイトより)