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サンパウロ倫理法人会1周年祝う=「ブラジルに必要な経営思想だ」=来年2カ所目、上部組織も

会員らが記念撮影

会員らが記念撮影

 「スマフォなどの一見便利なテクノロジーによって、逆に人と人が遠ざかっている時代に、倫理の教えが我々の身の回りの関係を近づけてくれている。日々忙しさが増す中で、倫理が日々の些細なことの大事さを思い出せてくれる」――サンパウロ倫理法人会(須郷清孝会長)の設立1周年「感謝の集い」が20日午前、サンパウロ市のマツバラホテルで開催され、非日系が半数を占める会員26人が参加し、冒頭のような感想をお互いに披露しながら和やかに祝った。

 まず日本の倫理研究所の丸山敏秋理事長からのメッセージが、須郷クリスチーナ淳幹事長により「地理的には遠く離れた日本とブラジルでありますが、倫理法人会の存在が地球の中心を貫く軸となって両国をつなぐことで、今後はより一層、日伯双方の会員が倫理実践の喜びを共有する間柄になっていくことでしょう」と読み上げられた。

会員全員がそれぞれの倫理体験を披露した

会員全員がそれぞれの倫理体験を披露した

 司会のマヌエル・セメド前幹事長が、次のような2年間の活動報告をした。2016年12月に法人会の設立準備が始まり、17年1月に設立委員会が組織され、11月5日には日本から丸山理事長ら10人の使節団、米国から4人を迎えて、97人で設立記念式典が行われた。以来、2週間に一度のモーニングセミナーが今までに22回開催され、日米から3人の講師を迎えた。短歌や書道など日本文化をより深く知るワークショップも開催されてきた。
 続いて須郷会長から「倫理経営」に関する講演が行われ、まずは自分の人生、家族、そして会社へと倫理的な経営の在り方を広げることの大事さが改めて語られた。さらに須郷会長は、1周年を無事に迎えられたことに関し、両国の関係者に感謝の言葉を述べた。さらに全会員が2分ずつ「倫理が変えた人生」をテーマに話をした。
 「会社経営の心配事に頭が一杯で、すごい不安感に始終さいなまれていた。だから従業員にも業者にも頭ごなしに高圧的に接することがあったが、今では愛と感謝をもって話すようになった」などの体験談が次々に披露され、「ブラジルに必要な経営思想だ」との共感が広がった。

倫理法人会憲章を受け取った新規会員ら(前列左端の矢野敬崇さんのみ旧来会員)

倫理法人会憲章を受け取った新規会員ら(前列左端の矢野敬崇さんのみ旧来会員)

 最後に新入会員4人に倫理法人会憲章が手渡された。
 日本国外の倫理法人会は2016年5月に台湾台北市に設立されたのが最初。同年11月に米国南カリフォルニア、17年9月には米国オレンジカウンティ、11月にサンパウロ市、今年11月には米国カリフォルニア州法人会という上部組織が続々と開設されている。
 来年には当地でもカンピーナス市に二つ目の倫理法人会を開設し、その上部団体としてサンパウロ州倫理法人会を設立する予定。


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 倫理法人会の体験発表の中には、「最初は『なんでそんなことを』と理解するのが難しかったが、実践してみてすぐに腑に落ちた」というブラジル人会員の声も。また「朝早く起きるとか、挨拶をするとか、倫理の教えを最初に聞いた時は、そんな単純な、些細なことと思ったが、やってみると難しかった。そして、とても効果があることが分かった」、「以前は朝起きてすぐに仕事の不安を思い出し、家族に挨拶もしないで出社して、朝から晩まで問題にイライラして衝突ばかり、ストレスが多かった。倫理を実践するようになってから朝起きて感謝をし、家族にキチンと挨拶をして落ち着いて仕事を始めるようになり、周りとの関係が変わった」などの感想が会員から次々に聞かれた。この日、サンパウロ州は「黒人に関する意識啓発の日」だったが、同会員には「倫理に関する意識啓発の日」となったようだ。

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