《ブラジル》子持ち女性の給与は低い?=1人いるだけで平均24%減

働く母のサポートは「コスト」ではなく、「チャンス」ととらえる企業には優秀な女性人材も集まる(参考画像・Elza Fiuza/Agencia Brasil)

働く母のサポートは「コスト」ではなく、「チャンス」ととらえる企業には優秀な女性人材も集まる(参考画像・Elza Fiuza/Agencia Brasil)

 地理統計院(IBGE)の全国家庭サンプル調査(Pnad)によると、子供のいないブラジル人女性は平均2115レアルの月収があるが、子供を1人産むと月給は平均24%下がり、3人以上になると平均40%下がる事がわかった。11日付現地紙が報じた。
 図書館司書のエロイザ・スポラドールさん(30)は、「面接に行くといつも聞かれるのは、『結婚していますか?』、『お子さんはいますか?』だった。結婚が遅く、子供がいなかったせいで、良い職を得る事が出来たのだと思う」と語る。エロイーザさんは学業に戻りたいと思っており、夫婦は出産を少し待つつもりだ。
 子供のいる女性は、育児にどうしても時間を取られるため、キャリアアップのための資格取得などに時間をかけることが子供のいない女性より難しい事が、子供の有無で女性の間でも給与格差が生まれている一因ではないかと、ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団(FGV)所属の経済学者ブルーノ・オットーニ氏は分析。こうした「キャリアアップ阻害要因」は、子供の数が増えるほど、女性の肩にのしかかるとしている。
 オットーニ氏は、「女性社員が妊娠し、幼い子供を持つと、上司は『仕事に打ち込めなくなるのではないか』と偏見を持つし、雇用主も、出産などで女性が抜けたりするたびに起きる職場再編などを嫌う」と語る。
 同氏はさらに、問題の多くは行政側にも責任があると語る。IBGEによると、国内の0~3歳児の中で保育園に預けられているのは3分の1以下の32・7%だけだ。