《ブラジル》軍政の真相究明に尽力したパイヴァ夫人が死去=AI5の50周年の日に

 軍事政権下の1971年に死亡した夫を、行方不明とされ、長年にわたり、真相究明を叫んできたことで知られる、弁護士のエウニセ・パイヴァ氏(89)が13日に死去した。14日付現地紙が報じている。
 エウニセ氏の夫でサンパウロ州選出下議だったルーベンス・パイヴァ氏は、64年4月の軍政成立直後に罷免された。
 パイヴァ一家はその後、国外を転々とし、69年にリオに戻ったが、罷免処分の政治家関係者の国外逃亡を手伝ったことで目をつけられた。1971年1月20日、空軍兵士が同氏を逮捕しようとしてリオの自宅に来たため、自分で車を運転し、サントス・ドゥモン空港内の空軍詰め所に赴いたが、それ以降、消息が途絶えた。実際は秘密警察の刑務所に連れて行かれ、そこで拷問死していたが、軍はその秘密を隠し続けた。
 1男4女を抱えて未亡人となったエウニセ氏はそれ以後、夫の死の真相を求め続けた。それは軍政終了後も続き、同氏は「軍政時代の真相究明のヒロイン」として語られるようになった。
 2004年にアルツハイマー症を患ったヱウニセ氏は、以後、公の場に姿を見せなくなったが、2014年2月には、真相究明委員会によりルーベンス氏の拷問死が確認された。
 エウニセ氏が亡くなったのは、軍による政治犯の取締りや拷問の激化を招き、間接的にルーベンス氏らを死に至らせた軍政令第5号(AI5)制定からちょうど50周年にあたる13日だった。