《ブラジル》性的暴行容疑の心霊医療家ジョアン・デ・デウスの身柄拘束=逮捕令状発行の2日後に=容疑は全面否定

12日、疑惑が大きく報じられた後、初めて姿を現した際のジョアン・デ・デウス(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

12日、疑惑が大きく報じられた後、初めて姿を現した際のジョアン・デ・デウス(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 【既報関連】性的暴行疑惑で14日に逮捕令状が出た心霊治療家のジョアン・デ・デウス氏(本名ジョアン・テイシェイラ・デ・ファリア、76歳)が、16日午後4時半頃、ゴイアス州アバジアニア市で捜査当局に出頭したと16、17日付現地各紙・サイトが報じている。
 同氏は逮捕令状が出た後、ほぼ2日間姿を見せず、「逃亡状態」と報じられた。だが、同容疑者の身柄引き渡しを巡って当局者との交渉に当たっていた弁護士のアルベルト・トロン氏は、「逃亡する意思など全くなかった。逆に、なるべく早く姿を現したいくらいだった」と語っている。
 ジョアン・デ・デウス容疑者は、州都ゴイアニア市の組織犯罪捜査課(Deic)本部に移送され、3時間にわたる取調べを受けた。
 「心霊治療の名目で、同氏に身体を触られたり、卑猥な行為を強要されたりした」との被害女性の肉声が8日にグローボ局で放送されて以来、同氏に対する告発は国内外から届き、総数330件を超えていた。(17日には400件突破)
 同件の捜査を担当するアンドレ・フェルナンデス警部は、「容疑者は落ち着いて全ての質問に答え、自分にかけられている嫌疑も認識したが、一貫して否定した。『治療施設には全ての人々が自主的に来ており、治療は集団で行われて、性的暴行などなかった』と語っている」と、取り調べの様子を語った。
 ゴイアス州市警は既に15人の被害者から事情聴取を行い、15日以内に正式に告発するかを決める。フェルナンデス警部は、「容疑者の答弁は告発の信憑性を覆すものではなかった。被害者たちは状況を克明に語っている」とし、診療施設の職員や信者の関与、同容疑者が最初の告発以後引き出した3500万レアルの出所や用途なども捜査する意向を示した。
 ジョアン・デ・デウス容疑者は取調べの後、身体検査を受け、ゴイアニア市都市圏内アパレシーダ・デ・ゴイアニア市にある複合刑務所に収容された。同容疑者は4人部屋に収容された。心臓病その他の薬も、従来通りの飲用が許されている。
 トロン弁護士は、「被害供述には疑わしい点がいくつもある。供述書の一部に目を通したが、被害者の写真もなく、ジョアンは誰の事か思い出せなかった。また、性的暴行の被害に遭ったと供述しているのに、治療施設に戻ってきた人もいる。ジョアンに対する社会的リンチ(私刑)が発生しないよう、慎重に事を運ぶべき」と語った。
 17日朝、トロン弁護士は、ジョアン・デ・デウス容疑者に対する人身保護令の適用と、釈放がならなかった場合も、足環付の自宅監禁処分の適用を求めた。