《ブラジルサッカー》元セレッソ大阪のパブロ、サンパウロFCに移籍=アトレチコ・パラナエンセのエースがビッグクラブに挑戦

 ブラジルサッカー界は、12日にアトレチコ・パラナエンセがスダメリカーナ杯を制し、年内の公式戦が終了した。年明けの1月下旬から各州の州選手権が始まるため、短いオフシーズンに入っているが、この時期は各チーム首脳陣にとって、来期に向けた戦力補強に忙しい時期でもある。そんな中サンパウロFCは19日、今年アトレチコ・パラナエンセのエースとして活躍、2015年にはJリーグのセレッソ大阪でもプレーしたパブロ(26)の獲得を発表した。
 下位や中位のチームの中心選手が、強豪チームに目をつけられ引き抜かれるのは欧州やブラジルのサッカー界ではおなじみのこと。ここ10年間は全国選手権での優勝に見放され、今年も5位に終わった強豪サンパウロFCは、11年ぶりの王座奪還に向け、来季の得点力アップの原動力となることを期待して、全国選手権7位のアトレチコ・パラナエンセで今季12得点を挙げたパブロと契約した。契約期間は2022年までの4年間だ。
 パブロはアトレチコ・パラナエンセの下部組織でサッカーをはじめ、レギュラーに定着する前にはレンタル移籍も経験。13~14年のシーズンにはスペインの名門レアル・マドリッドのBチーム、レアル・マドリッド・カスティージャ、そして15年にはJ2のセレッソ大阪に移籍。J1昇格の原動力となることを期待されたパブロは40試合出場で8得点あげたが、チームは昇格を逃していた。
 翌16年、セレッソの在籍中の監督だったパウロ・アウトゥオリがアトレチコ・パラナエンセの監督に就任するのと同時にアトレチコ・パラナエンセに復帰。パブロはそこからレギュラーとなった。またポジションも、今年はそれまでの攻撃型ミッドフィールダーからセンターフォワードに移った。このコンバートが功を奏しリーグ4位の12得点を決めた上、スダメリカーナ杯(欧州のヨーロッパ・リーグに相当)の決勝戦、コロンビアのジュニオル・デ・バランキージャ戦では2試合連続ゴールを決め、優勝に貢献し、来年のリベルタドーレス杯の出場権も獲得。チームの大黒柱となっていた。
 サンパウロFCはパブロの獲得にあたり、アトレチコ・パラナエンセに移籍金600万ユーロ(約7億6千万円)を払う。また、インセンティブ契約として、最大100万ユーロ(約1億2700万円)を追加で支払う約束になっている。総額700万ユーロ(8億8700万円)という移籍金は、2013年にサントスFCがインテルナシオナルからレアンドロ・ダミアンを獲得した際にに払った945万ユーロ(約12億円)に次ぐ高額だ。
 今季のサンパウロFCは、前半戦は一時首位にも立ち、久々の優勝も期待されていたが、後半戦になると、ネネーやジエゴ・ソウザをはじめとしたベテラン中心の攻撃陣が疲労を隠せなくなって後退した。この課題の克服は、まだ26歳と働き盛りの新エースに託された形だ。
 またサンパウロFCは、定評のある下部組織で有望選手を育てても、芽が出る前に欧州クラブに売ってしまい、主力を移籍のベテランに頼らざるを得ないちぐはぐなチーム編成をここ数年行い、批判も浴びていただけに、その流れを変えることも期待されている。(20日付アゴラ紙より)