サンパウロ州=サソリの被害拡大傾向に=1カ月に2度出現した産院も

ブラジルの南東部や中西部、北東部に多く、死亡事故も起こすエスコルピアン・アマレロ(Divulgação)

ブラジルの南東部や中西部、北東部に多く、死亡事故も起こすエスコルピアン・アマレロ(Divulgação)

 サンパウロ州では近年、サソリによる被害を頻繁に耳にするが、サソリによる被害は全国的に拡大傾向にあり、毎年100人以上の死者も出ている。
 12月17日付BBCニュースによると、2010年に報告されたブラジルでのサソリによる被害は5万2509件だが、2017年は138%増え、12万4904件になった。また、死者は74人から184人に、152%増えた。17年の死者中、26人はサンパウロ州、22人はミナス州で報告された。
 1月4日付ジョルナル・ナ・ネッチには、2016年の全国での被害者は9万1701人で120人が死亡とあるから、17年の被害者は前年比36%増だ。昨年の被害総数は出ていないが、9万人は確実に超えている。
 サソリによる被害は軽度だと報告されない事があり、実数はもっと多いはずだが、それでも既に蛇による被害を超えた。
 サソリに刺された時に使う血清を製造しているサンパウロ市ブタンタン研究所のファン・フイ・ウェン医師によると、2000年代はじめのサンパウロ州での被害はリベイロン・プレット地方に集中していたが、現在は州全域で被害が起きており、ブラジル南部にも被害が広がっている。
 同氏はサソリの出現範囲拡大の理由は特定出来ないとしつつ、温暖化により、気温と湿度が高くて、餌となる虫も多い場所が増えた事も影響していると言う。また、人口増加で放置ごみや瓦礫も増え、サソリが好むゴキブリなどが増えているのも原因の一つだ。
 サソリが市街地でも頻繁に見られるようになった事は、サンパウロ州エンブー市の産院で1カ月に2度、サソリが出現した事でも明らかだ。サンタバルバラ・ドエステ市やタボアン・ダ・セーラ市などでも被害例や死亡例が報告されている。死亡例は7歳以下の子供が多い。
 暑い時期は、雨に降られたり、餌となる虫を捕ろうとしてサソリが巣から出てくるから、被害も増える。サソリはメスだけでも生殖出来るし、毎回20~30匹の子供を産み、幼生は7~10日で自立。繁殖力が強い上、殺虫剤では死なないから、見つけたら確実に殺す必要がある。サソリが頻繁に出ている地域では、家回りを清掃してゴキブリなどの発生を抑える、窓などに網をかけて侵入を防ぐ、衣類着用前にサソリがいるかを確認といった注意が必要だ。