新潟農業研修=母県から4人、農家を視察=1400haの大豆農場も

新潟県人会で送別会が行われた(右端4人の青年が研修生)

新潟県人会で送別会が行われた(右端4人の青年が研修生)

 新潟県が実施する「平成30年度農業青年等国際交流推進事業」を通じて、青年農業者4人が来伯した。一行は各地で活躍する新潟県人を中心とする日系農家を視察して見聞を広め、23日に帰路に着いた。
 本制度は89年に始まり、92年からは新潟への研修生受入がはじまる形で、隔年で相互交流を継続してきた。13日に到着した一行は、オランブラの花卉農家、ペトロリーナの熱帯果樹農家、パラグアイの大豆農家や、ロンドリーナ近郊の農家等を視察した。
 当地での研修生引受け先をコーディネートし、全日程に同行したブラジル新潟県人会の駒形秀雄会長は、「県人は各地で立派な農場経営を行い、経済的にも成功、よい生活をしている」と話す。
 その一つが、ペルナンブッコ州西部ペトロリーナでマンゴー、ぶどう等を栽培する県系二世の高倉ラウロさんの農家だ。ここは半乾燥地だが、サンフランシスコ河の水を灌漑に利用し、熱帯果樹が年中とれる生産地となった。駒形会長によれば「日系人は5世帯ほどだが組合があり、冷蔵設備や梱包作業を行う工場もあった」と話す。
 3、4割は欧州向けに輸出されており、日系農家が地道に品種改良を重ね、欧州の規格に適合した熱帯果実を栽培し成功しているようだ。
 研修生4人が「圧巻だった」と異口同音に語るのが、県系二世の市村イラセーマさんが経営する大豆農場「4-I」だ。ブラジル国境から130キロ程度離れたパラグアイにある同農場は、およそ1400ヘクタール。年間8500~9千トンの大豆を生産、輸出する。裏作では主にとうもろこし、小麦を栽培し、数百頭の牛も飼育する。
 今制度に参加した団長の町田道明さん(41)は、「長岡市で大豆栽培をしているが、全く規模が違う。コモディティー価格が決まるシカゴの国際相場に対抗しているという感じで圧巻だった」と振返った。

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 研修には町田さんをはじめ、丸山市之助さん(33)、金崎優さん(33)、阿部生昌さん(31)が参加。阿部さんは「市場で薩摩芋を見たが、大きさが規格外で驚いた。日本ではしっとり系の甘い品種が人気だが、こちらではほくほく系の紅あずましか見当たらなかった。新品種や加工等も含め、日本の農業が入り込める余地もあるのでは」と所感を語り、「ブラジルでは家族や友人をとても大切にしている。どこでも温かく迎えて頂き、感謝でいっぱい」と各地でのおもてなしに感謝を繰り返した。