ベネズエラ=マドゥーロがグアイドに反撃=最高裁使って口座差し止め=米国からの制裁への腹いせ

1月30日のマドゥーロ氏(Twitter)

1月30日のマドゥーロ氏(Twitter)

 【既報関連】ベネズエラ国民議会のフアン・グアイド議長が暫定大統領を宣言後、米国がベネズエラに経済的な制裁措置をとったりしたことで、マドゥーロ大統領が反発し、最高裁を使ってグアイド氏に制裁を加えるなどの行動に出ている。1月29~31日付ブラジル国内紙が報じている。
 1月23日にグアイド氏を暫定大統領と認定した米国は1月28日、ベネズエラに対し、石油公社PDVSAの株70億ドル分を差し押さえる措置を行い、石油貿易が経済を支えている同国に打撃を与えた。また、ベネズエラから購入した石油代金を払い込む口座を凍結し、マドゥーロ氏らが口座にアクセスできないようにもした。口座の資金は、グアイド氏を暫定大統領と正式に認める、または、新たな選挙が行われた場合にのみ引き出せるようになっている。
 こうした制裁を受け、マドゥーロ氏側は「我々は米国からの不当な制裁の被害に遭っている」と世界にアピールする戦略をとりはじめるなどして反撃に出ている。
 その手始めとして1月29日、ベネズエラの最高裁は、グアイド氏の国内の銀行口座を差し止める命令を下した。また、グアイド氏が国外へ逃亡できないようにするため、パスポートの使用も差し止めた。
 同国の最高裁がこのような措置を取れるのは、マドゥーロ氏の先代のチャヴェス氏が独裁制を強めるに当たり、最高裁判事の大半を自身の政権寄りの人たちで固めているためだ。
 また、ここ数日、ベネズエラでは国外のジャーナリストに対する取り締まりが強化されている。1月26日から30日にかけて、反体制派の同国報道関係者はもちろん、ブラジルやチリ、フランスから来たジャーナリストが一時拘留されたり、母国に送り返されたりする事態が起きているという。
 他方、1月30日は首都カラカスを中心に、反マドゥーロ派の国民による抗議活動が行われた。彼らはグアイド氏が提案する「1カ月以内の大統領選」にマドゥーロ氏が応じるよう訴えた。グアイド氏は29日に暫定大統領承認国への大使を命名。30日もカラカスでのデモ行進に参加した。
 グアイド氏らは、マドゥーロ氏側についている軍に対し、マドゥーロ氏に対抗して蜂起することや国民への迫害を止めること、人道支援物資の国内持ち込みを阻害しないことなどを求めた。軍による暴力行為は国際的な問題となっている。
 入院中のボルソナロ氏に代わって任務の一部を代行中のモウロン副大統領は1月30日、グアイド氏からの人道支援要請に対し、ブルマジーニョの大災害の被災者支援用に集められたが、当面は送ることができない支援物資の一部を同国に回すなどの方策を考えていることを明らかにした。