《ブラジル》ミナスの惨事に灯をともす=消防士を支えるボランティア

洗いあがった服を手にした消防士とサントス氏(1月31日付G1サイトの記事の一部)

洗いあがった服を手にした消防士とサントス氏(1月31日付G1サイトの記事の一部)

 1月25日に発生したミナス・ジェライス州ブルマジーニョの鉱滓ダム決壊事故から1週間。懸命に救出作業に携わる消防士達の姿は連日報道されているが、その背後には、重労働なのに、給与やボーナスも分割払いなど、意欲が萎えても不思議がない消防士達を支えている人達がいる。
 重金属なども混じる鉱滓(鉱山で採掘した鉄鉱石などを砕いたりして出るカス)でぬかるみ、歩行もままならぬ中、汚泥で埋まった人や動物を救出するために汚泥の上を這って進んだり、板などで足場を確保して汚泥を掘ったりと、その作業はまさしく重労働だ。
 汚泥の表面が乾けば、目的とする場所までの移動は容易になるが、汚泥の中に埋まった遺体などを掘り出すのはより困難になるなど、その大変さは日一日と変わる。
 そんな消防士達の活動に不可欠で、彼らの背中を押してくれるのがボランティアだ。ボランティアの働きは色々あるが、出動するたびに泥だらけになる消防士達にとり、服を洗ってくれる35人のグループは、日々、新しい力を与えてくれるボランティアの一つだ。
 何か手伝いたいと現場に赴いた牧師のマルシオ・サントス氏は現場に着いてすぐ、泥だらけになって帰ってきた消防士に、服は洗っているかと尋ねた。即座に返って来た「いつも同じ服を使っている」との言葉に、サントス氏や一緒に来たボランティア達は早速、洗濯場を造った。
 以来、24時間絶え間なく働いている14台の洗濯機は、約1200あるバプテスト教会の人々が人道支援のために作ったファンドへの寄付金で購入したものだ。
 州保健局などが触れるのを避けるようにと指導している鉱滓で汚れた服は、高圧水流で汚泥を洗い流してから、専用の洗浄液に浸した後、洗濯機にかけられる。
 360人の消防士達は1日交代で救出作業にあたっており、1日の作業を終えると日中使った服を預けていく。ボランティア達はそれを洗って乾燥させ、アイロンをかけては名前入りの袋に入れて消防士達に返す。
 無論、作業中に鉱滓に触れないための注意は不可欠で、ボランティア達は特別な衣類を使い、細心の注意を払いつつ、昼夜を問わず、作業を行っている。
 ボランティアの中には、15年11月に起きたマリアーナでの鉱滓ダム決壊事故の時にもボランティアとして奉仕した人がいる。サントス氏はその時も、泥がなだれ込んだ家々を掃除して回ったという。
 25日の事故発生以来、洗濯のボランティアの世話になった消防士達は延べ1千人を超えている。その中には、サンパウロ州やバイア州、エスピリトサント州など、他州から応援に来た消防士達が含まれている事は、言うまでもない。
 この他にも、1日4回の食事作りなどを通して消防士達を支えるボランティアも大勢いる。また、同州ベロ・オリゾンテにある商店主達の団体(CDL―BH)は、鉱滓による金属汚染を避けるため、使い捨てにしなければならない靴下や下着、各々900組を寄贈している。(1月31日付G1サイトより)