ベネズエラ=特殊部隊がグアイド家を脅迫=ブラジルは負債に関する再考開始

国家警察による脅迫後も抗議行動に参加するグアイド氏と家族(TJG)

国家警察による脅迫後も抗議行動に参加するグアイド氏と家族(TJG)

 【既報関連】1月23日に暫定大統領だと宣言したフアン・グアイド国民議会議長に対し、ニコラス・マドゥーロ大統領や体制派の反撃・迫害が続いていると1月31日、2月1日付ブラジル国内紙、サイトが報じた。
 グアイド氏が銀行口座凍結や国外旅行禁止などの措置後も活動を停止しないのを見た体制派は、1月31日に同氏の自宅に押しかけ、家族を脅迫するという行為に出た。
 体制派の国家警察が自宅まで来た事は、カラカスの大学の講堂での抗議行動の最中に、グアイド氏自身が「特殊部隊が自宅に来ており、妻を捜している。独裁者達は我々が恐れをなすと考えているようだ」と語った事で明らかになった。
 自宅には生後1歳8カ月の女児もおり、「家族に何かあったら国家警察の責任」とし、マドゥーロ氏の責任を問うた。
 他方、同日はグアイド氏の暫定大統領宣言に関しても大きな動きがあった。米国議会の働きかけを受け、欧州連合(EU)議会が439対104(棄権88)でグアイド氏を暫定大統領として認め、参加諸国もそれに倣うよう求めたのだ。
 EUは1月23日にベネズエラが選挙をやり直す事を望む旨を表明したが、グアイド氏承認への言及は避けていた。また、独、仏、スペインは26日に「マドゥーロ氏が8日以内に正当で自由な選挙を公示しなければグアイド氏を承認」との意向を表明したが、EU議会はそれを一歩先取りした。1月末までにグアイド氏を承認したのは16カ国+EU、マドゥーロ氏支持国は8カ国だ。
 グアイド氏は民主的な形の大統領選早期実施を求めているが、マドゥーロ氏は国民議会の選挙の前倒しに同意を表明しただけで、大統領選挙を行う意思はまるでない。
 他方、グアイド氏の暫定大統領宣言について、大統領選でマドゥーロ氏とも対峙したエンリケ・カプリレス氏は、「国民議会閉鎖への懸念から、反体制派内でも同氏を暫定大統領とする事への合意はできていなかった。宣誓行為と国際社会の反応に驚いている」と語っている。
 なお、ブラジル政府はグアイド氏の暫定政権支援のため、マドゥーロ政権から要請があったが拒絶した8億ドル弱の負債の返済延期交渉再開や、国際通貨基金などからの資金借り入れ支援などを検討し始めている。