JH=大樋氏、陶芸の真髄語る=第11代目、350年の伝統=感激、抱きつくブラジル人も

講演会の様子

講演会の様子

 石川県金沢市で350年以上の歴史と伝統を持つ「大樋焼き」。2016年にその十一代目を襲名した大樋長左衛門氏が、24日から28日までブラジルに滞在した。大樋氏は日本国外務省の要請を受け、19日から23日まで米国に滞在後に来伯。27日には聖市のジャパン・ハウス(JH)で講演し、約70人の来場者を感動させた。また、24日から27日まで同館行われた企画展示会には3点の作品が置かれ、4日間で1万2430人が来場した。

企画展に展示された「大樋焼き」

企画展に展示された「大樋焼き」

 大樋氏が到着した24日の昼、聖州カンピーナス市の東山農場で約30人の日系団体代表らによる歓迎会を催された。夜には石川県人会の歓迎会も行われ、県知事から預かって来た親書が大樋氏から手渡された。
 25、26日にはアトリエ本間で30人の生徒にワークショップを行い、27日にJHで講演した。開始30分前には入場整理券がなくなり、空席待ちの列ができた。
 講演では「宿る霊性 日本の茶道と工芸」をテーマに、日本の美術文化は豊臣秀吉の時代に変化したと言及。それまで中国文化に影響を受けた日本文化が、独自の文化を作ったと論じた。
 その際に生まれたのが「樂焼」で、轆轤(ろくろ)を使わず手びねりで成形し、削って形を整え、釜の中で冷めるのを待たずに高温の状態で出し急冷する。「大樋焼」は、この手法を得て金沢市で誕生した。「350年の中で、時代ごとに進化していく伝統芸術だが、その中で変わらない手法や精神があり、僕が守るもの」と大樋氏は熱く語った。

企画展の様子

企画展の様子

 講演会では質問が相次ぎ、予定時間を大幅にオーバーする結果となった。講演後に参加者らは大樋氏と写真を撮り、中には「今日のお話、本当に良かった!」と感激して抱きつくブラジル人も。ワークショップにも参加したある日系人の女性は講演後、「日本文化は奥深い。先生の話は本当に素晴らしかった」と心を打たれた様子だった。
 28日には、こどものその、文協、イビラプエラ公園の開拓先没者慰霊碑と日本館を訪れ、ブラジル日本移民史料館と日本館に大樋茶盌を寄贈した。なお、4月末~5月に大樋茶盌は新装オープン予定の史料館7階で展示される。

文協での大樋茶盌贈呈式

文協での大樋茶盌贈呈式

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 大樋長左衛門氏は、豊臣秀吉の時代に誕生した茶道と工芸は、「目に実体を持たない霊性を踏まえた文化である」と話す。その例が、千利休が作った茶室、床の間だ。床の間に入る時には、身分に関係なく皆が手と口を水で清め、片引戸の小さな躙口(にじりぐち)から頭を下げて入り、正座をする。茶室は日常とあの世の間にある空間と位置づけられ、客人は祈るような気持ちで中に入った。この茶会や空間の捉え方に「霊性」を感じていると言う。この奥深さが、どこまでブラジルに伝わるのか。今回2回目の来伯だが、何度でも訪れて説明してほしいもの。