外務省支援事業=静岡県が青少年6人派遣=懸け橋人材育成、初の試み=JHで研修、平野植民地も

静岡文化芸術大学(Lombroso [Public domain], from Wikimedia Commons)

静岡文化芸術大学(Lombroso [Public domain], from Wikimedia Commons)

 静岡県庁、日本国外務省、ブラジル静岡県人会が連携する「ブラジル青少年派遣事業」が今月16日から3月1日までの2週間行われ、静岡文化芸術大学の6人の大学生と副学長の池上重弘教授、県庁職員で地域外交専門家のアレシャンドレ・モライス氏が来伯する。学生らは18日から24日までジャパン・ハウス(JH)での研修に参加。25、26日には平野植民地に滞在し、移民の歴史を学ぶ。日本政府と県庁、県人会が連携し、日伯の懸け橋となる人材を育てる新しい取組みだ。

 静岡県庁によれば、同事業は2017年8月の静岡県人会創立60周年記念式典で川勝平太知事が来伯した際に、外務省及びJHとともに大学生の就業体験事業について話し合い、今回初めて実施する運びになった。学生らが専門とするアートマネージメント(芸術経営学)の人材育成と、交流を通して親善大使的な役割を担うことを期待されている。

ジャパン・ハウス

ジャパン・ハウス

 学生らは18日からJHでインターンシップを開始。19、20、21日には、案内補助や資料整理等の補佐、企画展の構成や準備の手伝い、館内のミーティング等に参加し、アートマネージメントを総合的に学ぶ。
 また、サンパウロの美術大学で学生との交流や、日系人アーティストのアトリエ訪問も。24日の午後には一般の来館者向けに、JHで日本や静岡県を紹介する。
 静岡県人会の事業としては、24日に同県人会の会員宅でホームステイを体験。25、26日に同県出身の平野運平が創立した平野植民地を訪問し、日本人移民の歴史を学ぶ予定だ。
 静岡県人会の原永門会長は、日本から来る学生に対し「ぜひ移住が始まった頃の歴史を学び、110年経って子孫が活躍しているのを知ってもらいたい」と語る。また、同事業をきっかけに母県との絆が深くなることを熱望している。
 静岡県地域外交局地域外交課の小沢和久氏は、「静岡県からブラジルを訪問する学生は少ない。ぜひブラジルや日系社会への理解を深め、帰国後に生かしてほしい」との希望を語った。

□関連コラム□大耳小耳

 静岡県庁の小沢さんによれば、日本から来伯する学生6人のうち2人は日系ブラジル人三世。浜松市で育った日系子孫だ。同市は政令市の中で最もブラジル国籍の人口が多い。だが、同県人会の原会長は近年母県との距離が遠のいていたと言う。しかし周年行事をきっかけに絆が深まり、10年ほど止まっていた県費留学も昨年復活した。ちなみに今回の事業が行われるのは、JHが各県に連携事業を持ちかけた際に、同県から就業体験を提案したことがきっかけ。人材育成の観点が優れていると採用されたそう。世代を経て母県との絆が薄まる中、日本政府を巻き込んだ事業が今後も有効かも?