《サンパウロ》公立校教師、グローバルティーチャー賞候補に=工学が専門のガロファロ氏

「生徒を励ます事が鍵」とガロファロ氏は語る(参考画像・Tomaz Silva/Ag. Brasil)

「生徒を励ます事が鍵」とガロファロ氏は語る(参考画像・Tomaz Silva/Ag. Brasil)

 サンパウロ市南部の公立校(初等教育)アルミランテ・アリー・パレイラス校の教師デボラ・ガロファロさんが、その独創的な授業が評価され、国際的な評価である「グローバルティーチャー賞」の最終候補10人にはいったと、21日付ブラジル紙が報じた。
 グローバルティーチャー賞は英国バーキー財団主催の賞で、教育現場で優れた貢献をした教師に贈られる。2015年に創設されたこの賞では、これまでにブラジル人教師が2回候補入りしている。
 「ロボット工学を教えたい」との夢を抱いていたガロファロさんは、街中に捨てられているゴミから、自動の小型車や、掃除機、太陽発電パネルまで作れることを教える授業を行い候補入りとなった。
 14年、コンピューター室担当教員として働き出したガロファロさんは、子供たちはコンピューター室が好きだが、理由は、単に「ゲームができるから」ということに気付いた。「もっと好奇心を引き出せるようなことを…と考えていたら工学に行き着いた」と語る。
 工学を教えようにも、資金がなかったガロファロさんは、子供たちと街に出て、リサイクルゴミを拾い材料とした。
 これまでにデボラさんは、のべ700人の生徒と関わり、拾ってきたゴミは700キロにのぼる。「ただのゴミからこんな物が作れると励ましても、最初のうちは生徒もしり込みする。彼らは『工学なんて、私立の子が学ぶもの』と諦めている」と語る。
 同校に通うのは裕福でない子どもがほとんど。ガロファロさんは、「とにかく、子供たちをその気にさせる事が大事。私も子供たちと似た境遇だったから、気持ちがよくわかる。私も教師に励ましてもらった」と語っている。
 最近では、ゴミを拾おうと街に出ても、以前ほど集らなくなった。生徒が家に帰ってからゴミを拾って創作するようになるなど地域住民の環境意識が高まったのだ。
 グローバルティーチャー賞受賞者は、3月24日にドバイで開かれるグローバル教育技術フォーラムで発表される。