《ベネズエラ情勢続報》ベネズエラ軍が援助物資搬入に武力抵抗=ブラジル国境近くの市長「25人死亡、80人負傷」=国境周辺の混乱深まる=リマグループ会議、ボゴタで開催

ロライマ州知事アントニオ・デナリウム氏(Antonio Cruz/Ag. Brasil)

ロライマ州知事アントニオ・デナリウム氏(Antonio Cruz/Ag. Brasil)

 【既報関連】ベネズエラでの混乱が深まる中、23日には、医薬品や食料などの人道支援物資を載せたトラックがコロンビア国境やブラジル国境から同国に入ろうとしたが、マドゥーロ大統領の命を受けたベネズエラ軍兵士によって放火されたりした。その後も混乱が続く様子を23~25日付ブラジル各紙・サイトが報じた。

 2月23日は、グアイド暫定大統領が事前に、「この日に援助物資が届く」と宣言していた事もあり、搬入を阻止したいマドゥーロ大統領との間に緊張が高まっていた。
 ブラジルのロライマ州と国境を接するベネズエラのサンタエレナ・デ・ウアイレン市では同日、国境開放を求める人が少なくとも3人、ベネズエラ軍兵士に殺された。反体制派の同市市長は24日朝、国際メディアに現状を伝えるためにブラジル側のパラカイマ市まで来て、「21日以降、25人が死に、80人以上が負傷した」と語った。
 ベネズエラとブラジルの国境地点では、ブラジル在住のベネズエラ人がベネズエラ軍兵士に投石を行い、軍兵士が投石、ゴム弾、催涙ガス弾で反撃する姿が見られた。催涙ガス弾がブラジル領土内にも撃ち込まれたため、ブラジル軍は国家治安部隊や連邦道路警察の支援も仰ぎ、国境線の警備を強化した。
 コロンビアとの国境の橋の一つ、サンタンデール橋では、支援物資を載せたトラックがベネズエラ軍兵士に燃やされた。
 結局、23日は、コロンビアからもブラジルからも支援物資を搬入する事はできなかった。国境まで物資を受け取りに行ったグアイド暫定大統領はコロンビアで会見を開き、マドゥーロ大統領を強く非難すると共に、25日にコロンビアの首都ボゴタで開かれるリマグループ代表者会議にベネズエラ代表として出席する事を発表した。
 マドゥーロ大統領は、23日にコロンビアに対して国交断絶を宣言したが、ブラジルには同様の姿勢をとっていない。
 ブラジルもベネズエラによる国境閉鎖に対し、すぐには対抗措置をとらなかったが、23日の混乱を受け、「選択的通行許可」(ジョゼ・ジャカウナ陸軍大佐談)制を敷いた。
 また、24日夜には、ベネズエラ国内にいたブラジル人31人(大半は旅行者)がブラジルへの帰国を許され、トラックで国境を通過した。
 ベネズエラ軍兵士の多くはまだ、マドゥーロ氏についているが、続々と離反者も出ている。コロンビア国境では、23、24日の2日間で100人を超える離反者が出ており、ブラジルでも23日夜から24日夜にかけ、7人が国境を越えてブラジルに逃亡した。
 25日朝から始まったボゴタでのリマグループ代表者会議には、ブラジルからも、アミウトン・モウロン副大統領とエルネスト・アラウージョ外相が出席した。今回は元々リマグループに加盟していなかった米国のペンス副大統領、ベネズエラのグアイド暫定大統領も特別に参加。ペンス副大統領はグアイド氏に「米国は100%、貴方と共にある」と語った。
 ブラジルに近いベネズエラ内部では軍と、国境開放を求める市民たちとの間で衝突が続いている。負傷者は、国境を渡ってブラジルに入り、200キロ以上奥の、ロライマ州都ボア・ヴィスタに搬送されている。ロライマ州知事のアントニオ・デナリウム氏は25日、重体のベネズエラ人急増で医療施設が超過収容だとして非常事態宣言を発令した。