《ブラジル医師審議会》遠隔医療決議書の廃止を決定=地方協議会から批判高まり

国土が広いブラジルでは、病院に行きたくても遠すぎて行けない人が大勢いるのだが…(参考画像・Marcello Casal/Ag. Brasil)

国土が広いブラジルでは、病院に行きたくても遠すぎて行けない人が大勢いるのだが…(参考画像・Marcello Casal/Ag. Brasil)

 ブラジル連邦医師審議会(CFM)は22日、今月初旬に自らが出したばかりの遠隔医療決議書を廃止する事を決めたと、22、23日付現地各紙・サイトが報じている。
 遠隔医療決議書は、インターネットやTV電話などを使って、医師と患者が直接会う事なしに、問診、検査から手術の実施までを認めていた。
 そもそも、こうした医療は実際に行われており、決議書はそれを正式に認める性質のものだった。つまり、決議書が廃止になった事が、すぐ遠隔医療の廃止になるわけではなく、「書類上での、お墨付き付与が見送られた」が実情だ。
 今月初旬に決議書が出されて以来、サンパウロ州、リオ州などのCFM地方協議会からは、「定義が曖昧だ」「医療の質の低下や医療上の機密漏えいに繋がりかねない」「議論が深まっていない」などの批判が噴出していた。CFMは、「多方面から多数の批判が出たために廃止する」と書面で認めている。
 決議書では、「過疎地在住者は、初診から遠隔医療を利用でき、医師との通話も看護補助士の付き添いだけでよいが、都市部在住者の場合、遠隔医療は再診に限り、医師も直接治療に関与する」と定められていた。
 マイス・メジコス破棄によってキューバ人医師の大多数が帰国し、過疎地の医者不足が深刻化した自治体が窮状を訴えていたことから出された遠隔医療決議書だっただけに、CFMも最初は決議書廃止までは考えていなかった。だが、多数の反対に押され、方針変更となった。
 今回の決定に対し、ブラジル保健プラン協会は「デジタル化に逆行する動きで、不可思議」との声明を出している。