ベネズエラ情勢=グアイド氏外遊から無事に帰国=マドゥーロの脅し効果なく=9日に反体制デモ呼びかけ=公務員切り崩しに苦戦も

フアン・グアイド暫定大統領(Marcelo Camargo/Ag. Brasil)

フアン・グアイド暫定大統領(Marcelo Camargo/Ag. Brasil)

 【既報関連】ベネズエラのフアン・グアイド暫定大統領は4日、南米諸国を回る旅から9日ぶりにベネズエラに帰国したと、5、6日付ブラジル各紙が報じた。

 グアイド暫定大統領は2月23日を国外からの人道支援物資受け入れ日と定めていたが、前日の2月22日にはコロンビア国内で行われた、ベネズエラ支援資金を作るためのショーにも参加。マドゥーロ大統領の指示を受けたベネズエラ軍に阻まれたため、支援物資搬入はならなかったが、そのままコロンビアに残り、2月25日にボゴタで行われたリマグループ会議に出席。その後も、ブラジルやアルゼンチン、パラグアイ、エクアドルなど、同氏を暫定大統領と認めた国を回っていた。
 マドゥーロ大統領の支配下にあるベネズエラの最高裁判所は、1月30日にグアイド氏に出国禁止令を出した。マドゥーロ大統領は、「グアイドは司法の手から逃れられない」とし、出国禁止令を破ったグアイド氏の逮捕を示唆していたが、グアイド氏は4日、無事に9日ぶりの帰国を果たした。
 空港にはグアイド氏拘束を阻止すべく、欧州諸国やチリの大使が姿を見せた。ペンス米副大統領も「グアイド氏に対する脅迫、暴力行為は許さない」と表明していた。
 グアイド氏はパスポートを掲げ、「ここに私のパスポートがある。全く無傷だ」と語った。
 空港を出たグアイド氏は、支持者らが待つ首都カラカスのアルフレド・サデル広場に直行すると、「独裁体制打倒の希望が生まれた。この希望は決して死なない。今日はこの小さな勝利を祝おう」と呼びかけ、「9日に再びデモを行う」と宣言した。同氏はさらに、マドゥーロ大統領を支持する軍に向かって、「軍はなぜグズグズしているのか。もう700人を超える兵士がこちらについた。大方が内心ではマドゥーロを見限っている」と離反を呼びかけた。
 帰国の翌日、グアイド氏は公務員の労組と面会し、公的機関のストライキを呼びかけた。同氏はストに参加したことで解雇された職員を保護する事も約束した。
 組合側はいつ、どのような形でストを行うかの明言を避けており、「今でも田舎では、公的機関は週3日しか機能していない」と、ベネズエラ労働者組合(Unete)のアナ・ヤネス氏が語るに止まった。
 6日付エスタード紙は「ベネズエラ政府(=マドゥーロ体制)は、国家最大の雇用者」との表現で、マドゥーロ陣営はおよそ200万人の公務員を抑えているとした。
 会合への参加者は少数派で、「グアイド支持がバレて解雇されるのが怖い」と国営銀行の職員レニン・ブリセノ氏は語った。同氏によると、同僚の大半はグアイド支持だが、それを公言できる空気ではないという。
 マドゥーロ大統領も5日、「狂気に駆られた少数派は必ず駆逐される」と語り、「グアイド陣営が集会を呼びかけている9日にあわせて、『反帝国主義集会』を開く」と国民に呼びかけた。