会議所部会長シンポ=広がる視界、構造改革に期待=本格回復は2020年以降か=(下)

160人がじっくりと経済動向に耳を傾けた

160人がじっくりと経済動向に耳を傾けた

 コンサルタント部会の吉田幸司部会長は、世界的な資本市場の変化として2007年の「世界における時価総額トップ10」企業ではマイクロソフトしかデジタル系としては入っていなかったのに、2018年ではアップルが1位、アマゾンが2位など6社が入るようになり、大きく変化したと強調。
 ブラジル国内においても2007年には1位にペトロブラス、2位はバーレと資源系が強かったのに、2018年には銀行系が27%を占めるなど変化してきていると分析。
 ユニコーン企業と言われる設立10年以内で急激に大きくなった非上場企業が世界的に増えており、ブラジル国内でも99、nubank、xpinvestimentos、ifood、pagseguroなどどんどん生まれている。
 「今一度、何のためにブラジルに進出したのか、原点に返る」、「ブラジル人が日系企業に期待する事は?」を考え直せば、新ビジネスが見えてくる、と締めくくった。
 化学品部会の村松正美部会長は、農薬関連の企業から「許認可手続きに8~10年待たされる。簡素化・迅速化を」との要望が上がっていると述べた。
 電気電子部会の日比賢一郎部会長は、18年は対前年比でほぼすべての企業がプラス成長を達成し、19年にも緩やかな需要回復が期待できるとして、プラス成長を見込んでいると発表した。
 生産拠点マナウスには32社の日本企業が進出している現状を報告し、日本・メルコスルEPA締結促進を要望し、東京五輪と連携した日本の技術展、日本の省エネ技術紹介セミナーの開催などを日本政府に求めた。
 食品部会(黒崎政吉部会長)では、日清食品がYoutubeやFacebookを活用したユニークなコミュニケーション戦略で成功している例を紹介した。ブラジル人消費者に対し「お好きなようにラーメンを調理してください」というメッセージをユーモアたっぷりのシリーズ動画で投稿し、1500万回の動画再生を記録しているとのこと。アイデアを活かし安い費用で宣伝できる反面、「動画に登場する社長はブラジル中で面が割れている」との副作用がある点をのべた。
 生活産業部会(今川尚彦部会長)は、建設・不動産市場の現状として「景気低迷、公共工事の現象、ラヴァ・ジャットの影響」を挙げ、「本格的な景気回復は2020年以降」と予測した。
 最近の現象として、建築業界ではかつて材料費のコスト比率が圧倒的に高かったのに、2010年頃に逆転した。「法に守られる形で、今では人件費が激増した」と紹介した。また現在の低金利が持ち家購入を後押ししマンション発売・成約件数が伸びている割に、新築マンションの市場供給数が減っており、「売れ残りが減っている状況」と分析した。
 最後に野口泰在聖総領事が講評し、「日本政府、官邸もブラジルの動きに注目している。ダボス会議ではさっそく安倍総理がボルソナロ大統領と会談した。5月にはG20経済大臣会議が日本で、6月にはG20でボルソナロ大統領が大阪に行く。ハイレベルの対話を通じ、さらに日伯関係が緊密化するのでは」と語った。(終わり)