《ブラジル・学校乱射事件続報》=3人目の容疑者の少年出頭=暗黒ウェブが犯行教唆か?=凶器は売買サイトで購入=犯罪組織が裏にいた可能性も

事件翌日の学校の様子(Rovena Rosa / Ag.Brasil)

事件翌日の学校の様子(Rovena Rosa / Ag.Brasil)

 【既報関連】13日にサンパウロ州スザノ市で発生した学校襲撃事件は、犯人2人を含む計10人の死者と、11人の負傷者を出した。市警は、死んだ犯人の他にもう1人、17歳の共犯者がいたと見て、14日に身柄拘束の許可を要請。少年裁判所の命令で、15日午前中に少年が出頭したと、15日付現地各紙・サイトが報じている。

 この少年も学校の元生徒で、「犯人のギリェルメといつも一緒にいる生徒がいた」との証言などから、共犯者の存在が発覚した。証言によると、少年は事件の数日前に、「銃を撃ちまくりながら学校に入ってみたい」と話していたという。

 警察は「主犯のギリェルメ(17)が、何らかの理由でその少年を実行から外した」と推理している。「ギリェルメはおじの自動車販売店で働いていたが、店の金に手を付けて解雇されていた。襲撃計画を実行するために、幼なじみで定職、収入のあるルイス・エンリケ(25)を計画に引き入れた」とも見ている。

 少年は少年裁判所で尋問を受けたが、事件への関与を否定し、証言が終わると釈放された。

 この事件は、「銃の携帯を認めるか否か」についての議論が起きている最中に発生した。実行計画を立てるのに1年以上かけていたことも注目を集めている。

 ボルソナロ大統領は事件当日、事件を悼み、犠牲者と遺族を励ますメッセージをツイート。翌14日もインターネット中継で事件を強く非難するメッセージを発表した。

 犯行時にギリェルメが着ていた服や、ドクロ模様のマスクは、射撃ゲームのコール・オブ・デューティーのキャラクターに酷似している。

 犯行に使われた斧、弓矢、ボウガンなどの凶器は、インターネットの売買サイト、メルカード・リブレで買った事が判明している。サイト運営会社は、自社サイトが犯罪に使われたことを遺憾とし、捜査当局に協力を約束した。

 サンパウロ州検察局は、組織犯罪対策特別班(Gaeco)を招集した。ジャンパオロ・スマーニオ同局局長はその理由を、「犯罪組織が、学校襲撃犯たちと関わりがある可能性があるからだ」とした。

 通常のネット検索からは見つからない深層ウェブ、アクセス者の判別をさらに難しくしている暗黒ウェブなどの掲示板が捜査ターゲットだ。

 今回の事件は、12人の犠牲者を出したリオ市レアレンゴの市立校での乱射事件(2011年)や、18歳と19歳の2人組が級友12人と教師1人を殺して自殺した、米国コロラド州でのコロンバイン高校銃乱射事件(1999年)と類似点がある。暗黒ウェブの掲示板ではこうした事件の犯人を賞賛する書き込みが行われており、こうした掲示板が犯罪を煽った上、実行に移すための情報を与えていたのではないかと警察は見ている。

 ブラジルでは近年、こうした深層ウェブ、暗黒ウェブの掲示板が、違法な小児わいせつ画像や動画、人種差別、同性愛嫌悪、女性差別思想の拡散や、テロ行為の賞賛などに使われている。