《ブラジル・スザノ学校襲撃事件続報》=共犯容疑の少年、2度目の出頭=傍受メールに関与の証拠=学校では生徒が登校を再開

学校周辺で抱きしめあう人々

学校周辺で抱きしめあう人々

 【既報関連】サンパウロ大都市圏スザノ市の州立ラウル・ブラジル校で13日に発生した襲撃事件から6日後の19日、犯行後に死亡した実行犯2人と共犯だった疑いのある17歳の少年が2度目の身柄拘束となったと、20日付現地各紙・サイトが報じた。

 事件では犯人2人、生徒5人を含む10人が死亡した。

 少年は、15日に警察に伴われて少年裁判所に出頭。少年が容疑を否定し、警察側も少年の関与を裏付ける充分な証拠を提出できなかったため、少年裁判所の判事は事情聴取の末に釈放した。

 警察はその後、少年の家宅捜索やスマートフォンのメッセージ傍受を行い、少年の関与への疑いを強めた。担当検察官のラファエル・ド・ヴァル氏は、「少年が犯行計画に関わっていたことを示す証拠が見つかった」と語っている。

 再拘束された少年の身柄は、少年院に移され、45日の期限付で取調べを受ける。

 事件から6日後の19日は、事件後初めて、生徒たちが学校に戻った日でもあった。

 生徒の多くは、父兄に付き添われて学校に姿を見せた。学校には生徒たちの支えになろうと、教会関係者たちや、スザノ市内の別の学校の生徒たちも現れた。学校関係者は予定されていたカウンセリングを行う前に、朝食会を企画した。

 約60人の生徒を厨房にかくまい、命を救った立役者のシウマーラ・モラエスさんも学校に現れ、「まだ動揺は残っているけど、事件で破壊されたものを取り戻さなきゃ。早く立ち直って、また生徒たちの力になりたい」と語った。

 心理学者のブルーノ・フェドリ氏は、「生徒を立ち直らせる事はデリケートな仕事。事件のトラウマは大きいが、どれほど残虐な事件でも犠牲者の人生を壊す事はできない」と語った。

 心理学者らは今週いっぱい学校に詰め、その後は月に1回巡回する予定だ。しかし、必要に応じて個別のケースに対応する事もできる。

 事件からちょうど一週間たった20日も、スザノ市内のみならず、別の市からも生徒や教師、住民が学校を訪れ、生徒や学校関係者への連帯を示した。また、学校の内外で、激励のメッセージを書いたボードを掲げたり、犠牲者へ献花をしたり、生徒やその親族に花を贈り、抱きしめたりする光景が見られた。

 今後数日間は、授業は行われず、生徒たちの心のケアが行われる。また校内に残る事故の痕跡を消すために、塗装業者や修繕業者、机などの搬入業者も慌しく業務を行っていた。

 事件では11人が負傷したが、現在も入院しているのは3人で、いずれも容態は安定している。

 また警察は、犯人に闇ルートで銃を売った密売人が存在することもつきとめており、その行方を追っている。