プロミッソン=入植百周年記念史を刊行=市長「殿下ご出席、全市民の誇り」=初期入植者の家族史を編纂

花束を受け取った著者のレジーナさん(中央)

 「この本を通じて、プロミッソン市民の記憶の中に、親愛なるコロニアの多大なる貢献が永久に残るだろう」――23日夜、同市の日系文化運動連盟会館にて、上塚植民地入植百周年記念史『プロミッソンに於ける日本移民入植2018』の刊行式が盛大に行われ、アルトゥール・マノエウ・ノゲイラ・フランコ市長はこう賛辞を送った。昨年に眞子内親王殿下をお迎えし、前代未聞の大祭典を挙行したプロミッソン。一連の祭典事業を締め括る記念史刊行に約150人が駆けつけた。

 

 当地に於ける記念史刊行は、入植10年、50年に次ぐ3回目。郷土歴史家マリア・レジーナ・アンドラージ・ヘイエス氏が2年係りで調査・執筆し、初期入植者とその子孫の家族史を中心に纏めた。

 同氏は「大仕事だった。疲れて漠然と不安を感じたことも」と開陳する。そんな折、頭によぎったのが、病床にあった晩年の上塚翁が、安永忠邦さんの手を握り「頑張れよ、頑張れよ」と語りかけたその言葉だった。これを励みに一軒一軒を廻って資料を集め、ようやく完成を見た。

 植民地建設から入植百周年祭典事業までの主要な出来事を全て収録。市在住の日系人口調査も実施され、その実態が数値で明らかとなった。

 式典にはレジーナ氏、アルトゥール市長、アブラン・ダ・ロジャ・サレス市議会副議長、野口泰在聖総領事、飯星ワルテル元連邦下議、出版を助成した宮坂国人財団の西尾ロベルト義弘理事長、ノロエステ連合日伯文化協会の安永信一会長、吉田正広同会会長らが出席した。

 アルトゥール市長は「入植百周年を表象する言葉は結束だ。数多くの困難にも関らず、殿下をお迎えできた。現政権において最も重要な出来事の一つであり、殿下ご臨席の下で祭典を開催できたのは全市民にとって誇り」と話し、「笠戸丸着港はブラジル、そしてプロミッソンの歴史をも変えた。親愛なるコロニアの皆様の協力なくして今日の市の発展はなかった」と惜しみない賛辞を送った。

 安永会長は「この本はコロニアの皆さんの記録そのもの。レジーナ氏はじめ皆さんの協力のお陰で完成した」と謝意を述べた。飯星元下議は「プロミッソンのみならず、日系人全体にとって大きな遺産となる」と賞賛。野口総領事も「プロミッソン日系社会の歴史を伝めるのに寄与する」と称えた。

 当日は、弊紙刊行の眞子内親王殿下ご来伯記念写真集の販売も行われた。出席者らは記念史を紐解いて昔話に花を咲かせるとともに、感動の眞子内親王殿下ご歴訪の余韻に浸っていた。

 

 

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 プロミッソン市に生まれて現在も住む安永孝道さん(75、三世)は、入植百周年記念誌刊行式で、目を細めて「上塚公園の運動場にあるモニュメントは、僕達の手で作り上げてきたもの。でも、一番思い出深いのは上塚周平街道の標識さ。この型の文字は僕が書いたんだ。ナイフで切って、手に豆が出来たのを覚えているよ」と笑みをこぼした。街のあらゆるところに、日本人の様々な貢献が刻まれている。