新元号「令和」に新時代期待=深夜のTV発表待つ移住者も=30日に史料館7階再開館式

菅義偉内閣官房長官が記者会見で新元号『令和』を発表した(© 内閣官房内閣広報室)

 1日、日本政府は平成に代わる新元号を「令和」と発表した。5月1日の新天皇ご即位に伴ない、新たな時代を迎える。日本最古の歌集「万葉集」に由来し、人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つという願いが込められている。日本古典から採用されたのは、今回が初めて。新元号発表はNHKを通じて生中継され、当地では発表を待ち侘びて夜更けまでテレビを視聴する移住者も多かった。当地の移住者から、新元号についての印象を聞いた。

 

 NHK生中継で発表を見た南米神宮の逢坂和男宮司は、「素晴らしい新元号で安堵しました」と一言。「『令』の漢字には、令嬢、令息というように『素晴らしい』という意味がある。一般的にこの意味ではあまり使用されないので、言葉に重みがある」と印象を語った。

 「『希望に満ち溢れた新しい時代を国民が一緒になって作り上げてゆく』という意味が込められていると聞く。日本は世界の平和と繁栄に貢献していかなくてはいけない国だ。新たな時代に期待したい」と話した。

 同じくNHKで発表を見たブラジル日本会議の徳力啓三理事長は「ブラジルに住んでいるものには、元号には親近感が沸かないかもしれない。だが、言葉にこだわりがあり、世界で唯一という元号の奥ゆかしさを感じた」と述べた。

 「『和』が入るとは考えてたが、まさか『令』が入るとは驚きで、命令という強い言葉のイメージもある。新しい時代が始まり、馴染みある元号として浸透してゆくのでは」と見通した。

 ブラジル日本移民110周年祭典委員会の菊地義治実行委員長は「新元号とともに、日系社会も希望を持って新たな時代を切り開いてかなければならない。指導者が率先して日系社会の発展を後押しし、日伯の懸け橋となってゆけたら」と見通した。

 なお、今上陛下ご退位と新天皇ご即位に併せて、30日午後4時からはサンパウロ市のブラジル日本移民史料館7階の再開館式も行われる。7階では、鎧や兜など日本の伝統文化を紹介するスペースを新設するほか、開拓小屋や動物の剥製を配置し、開拓当時の原生林を再現する。

 78年に天皇皇后両陛下(当時、皇太子同妃両殿下)のご臨席の下で落成し、08年には御下賜金が下賜された経緯から、両陛下への感謝を込めて9階で写真展を開催する。67年、78年、97年の三回に渡りご来伯された当時の貴重な写真パネルが10数枚奉掲され、その後、日系五団体主催の晩餐会が催される予定だ。

 同館の山下リジア運営副委員長は「平成から令和の変わり目に、両陛下に感謝を込めて新時代を彷彿とさせる近代的な移民史料館をオープンさせる。美しく咲き誇る梅花のごとく新天皇皇后のもとに令和が美しい時代となれば」と願いを語った。