《ブラジル》デング熱患者が339%増加=流行発生の可能性のある市は約1千

ネッタイシマカ(Raul Santana/Fundação Oswaldo Cruz/Divulgação)

 ブラジル保健省が4月30日に発表したデング熱とジカ熱、チクングニア熱に関する最新統計によると、4月13日現在のデング熱の患者数は45万1685人で、昨年同期比で339%も増えている事がわかった。
 同省の報告によると、今年はネッタイシマカ(Aedes aegypti)が媒介するデング熱などの患者が増加傾向にある。
 デング熱の患者数45万1684人には、真性患者と擬似症患者が含まれているが、その内の65%は南東部で発生しており、特に、サンパウロ州とミナス・ジェライス州での患者増加が目立つという。
 また、連邦直轄区も州とみなすと、住民10万人当たりの患者数(発生率)が300人を超える州が8州もある事への懸念も大きい。これら8州と発生率は、トカンチンス(799・2人)、マット・グロッソ・ド・スル(697・9人)、ゴイアス(630・8人)、ミナス・ジェライス(585・3人)、アクレ(514・6人)、エスピリトサント(406・9人)、サンパウロ(349・1人)、連邦直轄区(302・7人)となっている。ただし、10万人当たり300人以上の患者がいるというだけで、その州全体が流行状態とはいえないので注意も必要だ。
 感染病管理局のワンデルソン・クレベル氏は、「患者数は確かに増えているが、現時点では全ブラジルが流行状態に陥っている訳ではない」とし、流行状態に陥っているのは特定の州の特定の市との考えを示した。
 今年のデング熱患者増加は、これまでの流行年には見られなかった2型ウイルスによる感染例が増えた事が原因だ。昨年までに感染した患者の大半は、1型か4型のウイルス感染者だった。
 保健省によると、デング熱、ジカ熱、チクングニア熱を媒介するネッタイシマカの幼虫(ボウフラ)の発生状況から、これらの病気が流行状態になる可能性が指摘された自治体は994市に上っているという。
 ジカ熱の患者は3085人で、人口10万人当たりの発生率は1・5人だ。今年に入ってからのジカ熱による死者は報告されていない。
 チクングニア熱の患者は2万4120人で、人口10万人当たりの発生率は11・6人だった。同病の患者は、昨年同期より減っている。チクングニア熱患者の約半数はリオ州で発生しており、特定地域での感染が目立つ。4月13日現在の統計での死者はゼロだが、4月29日に発表されたリオ州の統計では、2人の死者が出ている。(4月29日、30日付G1サイトより)