移民史料館=改元祝って改修再開館!=眞子様の備前焼、両陛下の直筆=上皇上皇后両陛下写真展も=「新展示を見に来て!」

「ブラジル移民史料館」と書かれた石碑の除幕式

「ブラジル移民史料館」と書かれた石碑の除幕式

 1日に「令和」時代の新たな天皇陛下がご即位された。日本中が祝賀気分一色となった同日、ブラジル日系社会でも改元に合わせて、サンパウロ市のブラジル日本移民史料館7階で再開館式を4月30日午後4時(日本時間で1日午前4時)から行った。史料館は上皇上皇后両陛下がお立会いの元、1978年に開館された場所でゆかりの深い。7階はそのとき以来、約40年ぶりに改修された。9階には日系社会に寄り添ってこられた現上皇上皇后両陛下に感謝を込めた、特別企画写真展が開催されている。

再開館式を祝し乾杯

再開館式を祝し乾杯

 「日本文化も知りたい」とのブラジル人来場者の要望に答え、改修工事した7階の入口には「日本文化」コーナーが新設された。越前漆器、美濃和紙、伊万里有田焼等の日本の伝統工芸品を紹介する映像がまず目にとび込む。実物展示としては鎧兜、掛け軸、馬具、刀等の侍の時代を髣髴とさせる品々が並ぶ。
 日本人移民110周年で昨年ご来伯された眞子様が寄贈された「備前焼の犬の置物」や、石川県金沢市の伝統工芸家、十一代目大樋長左衛門(おおひちょうざえもん)氏の「大樋茶碗」の実物も鑑賞できる。
 山下リジア運営副委員長によれば、見所は奥の開拓小屋付近だ。初期移民がジャングルを開拓した雰囲気を体験できるように、小屋そばの壁一面に密林の写真を張り、その前にサルや蛇、豹などの剥製を配置した。
 同じく壁一面のイグアッペ川写真の前に、イグアッペ植民地で実際に使用されていたカヌーに家族の人形を載せて置き、体験型の展示に改修されている。

展示会場を案内する山下リジア運営副委員長

展示会場を案内する山下リジア運営副委員長

 9階の企画写真展では、三度ご来伯された上皇上皇后両陛下の写真の他に、両陛下が直筆で記帳されたノートも展示。移民百周年の08年に下賜された御下賜金の封筒の実物も置かれている。
 西尾ロベルト運営委員長は「改修は本来8階のみだったが、トヨタや三菱UFJ、ホンダ等の35社が出資してくれ、昨年10月から7階も始められた」と語る。費用は約150万レアル。電装の近代化に加え、開拓小屋以外の内装も一新した。

9階の企画写真展

9階の企画写真展

 西尾運営委員長は「8階を改修しただけで客入りが30%増加した。スポンサー企業に本当に感謝」と喜び、「一度見た人も再来場して満足いく内容になった。ぜひもう一度来て」との期待を語った。
 9階で行われたカクテルパーティーには石川レナト文協会長、楠彰在聖首席領事、ブルーノ・コーヴァスサンパウロ市長代理のルイス・アウヴァロ氏、ブラジルトヨタ自動車の下村セルソ副社長等が出席。ブラジル三菱UFJ銀行の福元信義副頭取が乾杯の音頭を取った。招待客らは三度ご来伯された両陛下の写真を眺め、感慨深い様子でパーティーを楽しんだ。

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 移民史料館の西尾ロベルト運営委員長は、「ひとまず再開館が終わって良かった」とほっとした表情を見せた。昨年から始まった改修工事にかかった総資金はなんと345万レアルとか。そのうちの大部分をブラジルトヨタ自動車に援助してもらった。しかし再開館して終わり、ではもちろんない。「いつも問題なのが、史料館の保守・点検の費用。この問題を解決すべく、史料館友の会をもうすぐ設立させる」と西尾運営委員長。今回日本の伝統文化の紹介スペースを設置したが、さらに展示を充実化させたいところ。安定的な収入の確保、資金援助は今後もかかせないようだ。