《ブラジル・ロライマ州》ごみ捨て場あさるベネズエラ人=再生資源ごみと食物を探し

ゴミ捨て場をあさるベネズエラ人(2日付G1サイトの記事の一部)

ゴミ捨て場をあさるベネズエラ人(2日付G1サイトの記事の一部)

 政治、経済、社会、人道といった全ての面での危機が叫ばれる母国ベネズエラを離れて、ブラジルに移り住んでいるベネズエラ人の中に、ロライマ州パカライマ市のごみ捨て場を生き残りのための唯一の場としている人達がいる事がわかった。
 市内から持ち込まれるごみの山の中から再生資源ごみや食物を探し、利用できるものは何でも持ち帰るという一人は、3週間前にパカライマに着いたミゲル・アルテアガ氏(48)だ。
 ダンボールや金属などの再生資源ごみは、リサイクル業者に持ち込んで金に換えるためで、食物は、腐ってさえいなければ腹の足しにする。
 本当ならパカライマ市やボア・ヴィスタ市で定職を得たいところだが、両市には既に相当数のベネズエラ人がおり、職を見つけるのは難しい。しかも、犯罪に手を染めたベネズエラ人も出ているために、新参者が信用を得るのは余計に困難だ。
 4月30日にはベネズエラの国民議会議長で、1月に暫定大統領を宣言したフアン・グアイド氏が軍や国民の蜂起を呼びかけたが、体制派が優位に立ったため、ブラジルに逃げ込んでくるベネズエラ人が急増。同日だけで848人のベネズエラ人が、国境を越えてパカライマに来たという。
 アルテアガ氏と同居し、ゴミ捨て場にも一緒に来るグスターヴォ・サンタナ氏(48)によると、ゴミ捨て場に現れるベネズエラ人は彼らだけではない。ゴミ回収車が来る時間帯(午前と午後各1回)には、19~20歳のベネズエラ人も大勢来るというのだ。
 「ベネズエラ政府は役立たず。ちゃんと国を治めないから、こんな生活をしなければならない国民が出てくるんだ」と、サンタナ氏はぼやく。
 国連によると、2014年以降、ベネズエラを離れたベネズエラ人は340万人。内、約9万6千人がブラジルに入ってきているが、正規の労働市場に組み込まれたベネズエラ人は9%しかいないという。
 3人の中で最も若いのにゴミ捨て場での経験は最も長いのは、19歳のフレスビ・アルチアガ氏だ。段ボールはキロ10センターヴォ、アルミ缶はキロ3レアルで売れ、3人で山分けすると15~20レアル/日位になるというが、これでは食べていくので精一杯だ。
 グスターヴォ氏は、お金さえあればブラジル南部に移り、再出発を図りたがっている。だが、取材に応じるその前を、やはりベネズエラから多数移住してきているワラオ族の先住民が、4人の子供と共に利用できそうなものを探して歩くなど、現実は厳しい。(2日付G1サイトより)