野村流古典音楽協会が65周年=母県から慶祝団迎え祝う=進む若手育成、永続願う

本部慶祝団と共に幕開け斉唱

本部慶祝団と共に幕開け斉唱

 「まるで沖縄にいるような気分になりました」――公演後、野村流古典音楽協会本部の糸数昌治副会長はそう語った。野村流古典音楽協会ブラジル支部(知念直義支部長)は11日午後2時から「創立六十五周年記念公演」を、沖縄県人会本部大ホールで開催、約200人が来場して祝った。母県の本部から6人の慶祝団が遠路駆けつけ、当地会員らと共に三線の演奏と歌と踊りを披露。南麻州カンポ・グランデ市から三線演奏者のクリスチアン・プロエンサさん(27)と新垣マテウスさんも舞台に上がり、公演に華を添えた。

慶祝団の一人、玉城流円の會の平良会主

慶祝団の一人、玉城流円の會の平良会主

 本部からは、宮城勝秀副会長(宜野湾市)、糸数副会長(沖縄市)、村上佳子書記(愛媛県松山市)、古屋順子会計(うるま市)、内間清彦本部町支部長(本部町瀬底島)、玉城流円の會の平良富士子会主(糸満市)が来伯。4月30日から5月6日まで亜国に滞在し、同公演に合わせてブラジル入りした。
 式典の冒頭、知念支部長は本部の慶祝団と18後援団体に謝辞を述べ、「琉球古典音楽の真髄と琉球舞踊の優雅な舞をお楽しみください」と来場者に呼びかけた。
 本部慶祝団の宮城副会長は、ウチナーグチで「一世が開拓した大地に次の世代が種を撒き、収穫して今の立派な県人会となった」と褒め称えた。
 記念式典では、知念支部長と慶祝団が相互に記念品を贈呈した。また、65周年を記念して元会長の真喜屋弘氏と新城淳英氏に感謝状が贈られると発表された。

記念の集合写真

記念の集合写真

 公演では、慶祝団と同支部全員で「かぎやで風節(かじゃでぃふうぶし)」を演奏して開幕。南麻州カンポ・グランデ市から上聖した新垣さんが「恩納(おんな)節」、プロエンサさんが「こてい節」を独唱し、日頃の練習の成果を披露した。
 慶祝団の一員で内地出身の演奏者、村上さんは「遊び仲風」で愛しあった男性に去られた女性の恨み節を伸びやかな声で歌い上げた。この曲には、玉城流円の會の平良会主が優雅な舞を披露し観客を魅了。慶祝団の全員で披露した「瓦屋(からや)節」では、会場から惜しみない拍手が送られた。
 宮城副会長と糸数副会長は「ブラジルの皆さんは、言葉の壁がある中でよくやっている」と称賛。元県費留学生の大城ブルーナさんや座嘉比シモネさんら若手育成も進んでいるとし、「根付いたのは先人のお陰。永遠に続いてほしい」と願った。

乾杯の音頭を山城さんが取った

乾杯の音頭を山城さんが取った

 公演後は、山城勇同支部顧問が「ビーバ! カリー! ビーバウチナー!」と乾杯の音頭を取り、記念祝賀会と交流会が催された。最後は会場一体となり、笑顔でカチャーシーを踊った。
 ブラジル支部は、戦後間もない1954年10月11日に宮松松吉氏を初代会長に据え、19人の会員を以って創立した。ブラジル社会における琉球古典音楽の普及と継承等を目的とし、沖縄県人会の数多くの行事に参加して、同県人会の発展に寄与し続けている。

会場一体となり盛り上がったカチャーシー

会場一体となり盛り上がったカチャーシー

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 今年は野村流古典音楽協会のブラジル支部創立65周年だが、実は本部の方も創立95周年と節目の年。糸数昌治副会長によれば、沖縄県で今年11月~来年1月に3回記念公演を行うという。そのような忙しい中で、今回の慶祝団6人の渡航は4月に急きょ決まったのだとか。「亜国日系社会との交流に招かれたのがきっかけ。ブラジルが創立65周年だと知っていたので足を伸ばしました」と宮城副会長。公演の他にも、10日にはサンパウロ市イピランガ区の沖縄料理店「おいしいさ!」で演奏会を行い、店内を楽しませた。
    ◎
 「楽しみにして来ました」とニコニコと笑うのは、野村流ブラジル支部会員の新垣富子さん(82、南城市)。琴を習っているが、今日は足を悪くして出演できなかった。だが、前からこの日を楽しみにしていたとか。「知り合いばかり出ているし、うんと楽しんだよ」と満面に笑みを浮かべる。本部の慶祝団にも「演奏も踊りもとても素晴らしくて、満足しました。来て良かった」と感激した様子だった。