ブラジルの沖縄文化を支える非日系人

公演で三線を演奏するクリスチアン・プロエンサさん

公演で三線を演奏するクリスチアン・プロエンサさん

 「“まくとぅ”は日本語で誠という意味。分かるよね?」と説明し琉歌を吟じ始めたのは、南麻州カンポ・グランデ市在住のクリスチアン・プロエンサさん(27)だ。野村流古典音楽協会ブラジル支部の創立65周年記念公演に出演するために上聖。非日系人だが日本語を話し、ウチナーグチも少し分かるとか。
 14歳の時に非日系の友人に誘われ、エイサー太鼓を聴きにカンポ・グランデ沖縄県人会支部へ行き、三線の音を聴いて「この素敵な音色は?」と興味を持った。それまで日本文化との接触はなかったのだとか。
 すぐに三線教室の扉を叩いたが道は険しかった。最初の指導者、大城重信氏に「通訳する時間が無いから日本語を学んで」と言われ独学で勉強。「でも工工四(くんくんしー、楽譜)はウチナーグチだから苦労した」。四苦八苦した結果、古典を歌えるまでに成長した。
 同支部青年部長を務め、今は第二文化部長にも。若い人達の三線の指導者として活躍する。
 しかし、どんなに沖縄文化が好きでも県系人ではないため母県研修には行けない。「今回沖縄の先生方に直接習えたのは、僕にとって大事な機会」と喜ぶ。今後は彼のような非日系人がブラジルの日本文化を支える。彼らが日本で研修する制度はできないものか。(亜)