《ブラジル》薬物依存治療や密売に関する法を改正=強制入院のハードル下がる

 連邦上院議会は15日、薬物犯罪、薬物依存症患者に関する改定法案(13年下院提出の法案37号・PLC37/13)を承認したと、16日付伯字各紙が報じた。
 オズマール・テーラ現市民相が連邦下議時代に提出した法案は、「薬物依存症患者の強制入院継続の簡易化」や、「大型犯罪組織に所属する薬物密売者への懲罰強化」、「薬物依存から抜けるためのセラピーを行っている団体の強化」などを含んでいる。小規模な密売の罪は、同法により軽くなる可能性もある。
 薬物依存症患者の強制入院問題に関しては、従来は、患者の家族、法的責任者、治療担当者が治療の完了(施設からの退院)を決定することができたが、改定法案では退院を決められるのは医師だけとなる。
 同法案では、治療において非営利のセラピー団体や施設が受け持つことができる範疇も広げられた。過去30年間にわたる薬物依存症治療では、「健康被害の軽減、緩和」を優先してきたが、今後は「依存症克服」が優先される。
 テーラ市民相によると、改正法案の狙いは薬物依存治療の基準を定めることで、薬物依存者と直接接触し、保護する非営利団体を意味する「セラピー共同体」も、医療保健や社会福祉の公的機関と同様に、家族の同意がなくても薬物依存者を強制入院させることが可能となる。
 ブラジル、セラピー共同体連盟(Febract)のパウロ・クルランダー会長は、「現行法が改正されることで、薬物治療の質も向上するだろう」と語っている。