リオ州でマヤロウイルス確認=チクングニア熱と誤診の可能性

MAYVを媒介する蚊の代表のヤブカ(Haemagogus、Geniton Vieira/IOC/Fiocruz)

MAYVを媒介する蚊の代表のヤブカ(Haemagogus、Geniton Vieira/IOC/Fiocruz)

 ブラジル北部や中西部でチクングニア熱などに似た症状の患者発生をもたらしていたマヤロウイルス(MAYV)が、リオ州で発見されたと16、17日付現地紙サイトなどが報じた。
 MAYVはデング熱、チクングニア熱、ジカ熱などと同様、蚊が媒介。マヤロ熱という病気を引き起こす。MAYVは1954年にトリニダード・トバゴで発見され、ブラジルでも1955年にパラー州のグアマー川流域で最初の流行が起きた。
 ブラジルでは北部、中西部を中心に患者が発生しているが、これまでに確認されたマヤロ熱はヤブカ類が媒介する野生型で、患者発生も農村部や森林地帯に限られていた。
 だが、MAYVはかねてから、ネッタイシマカやイエカによっても媒介される可能性が指摘されており、人口が集中している地域に持ち込まれれば、デング熱や黄熱病以上の流行を巻き起こす可能性がある。
 そういう意味で研究者達が心配していた事の一つが、人口の多い南東部でのMAYV蔓延だ。リオ州ではチクングニア熱患者の発生が突出し、今年だけで2万6千人が感染したとされているが、MAYVの発見により、チクングニア熱と診断された人の中にもマヤロ熱の患者が含まれていた可能性が強まった。
 リオ州にもMAYVが入っていた事は、2016年に統一保健システム(SUS)でチクングニア熱の擬似症患者と診断されたが、チクングニア熱のウイルスが検出されなかった患者の検体からMAYVが検出された事で明らかになった。
 ウイルスが検出されたのはニテロイ市在住で州外に旅行した事がない患者3人の検体で、ウイルスが市街地に適応している可能性や、サンパウロ州やミナス州にもMAYVが広まっている可能性も高まった。
 リオ連邦大学分子ウイルス学研究所のアミウカル・タヌリ教授は、1956年以降に確認されたマヤロ熱患者は300人足らずだが、チクングニア熱と診断された患者を再検査すれば、マヤロ熱だった事が判明する可能性があるという。
 マヤロ熱は高熱や関節痛、発疹、頭痛、結膜炎などを引き起こし、デング熱やチクングニア熱などと誤診される例も多い。潜伏期間は3~11日で、通常は発症後3~5日で回復する。予防接種はなく、症状緩和以外の治療法はない。