《ブラジル》ミナス州=鉱山の斜面の動きが拡大=鉱滓ダム決壊の可能性は?

ゴンゴ・ソコ鉱山とスル・スペリオル鉱滓ダムの位置関係を示す航空写真(Vale/Divulgação)

ゴンゴ・ソコ鉱山とスル・スペリオル鉱滓ダムの位置関係を示す航空写真(Vale/Divulgação)

 ミナス・ジェライス州バロン・デ・コカイスのゴンゴ・ソコ鉱山北側斜面崩壊の可能性は刻一刻と高まっているが、同鉱山から1・5キロのところにあるスル・スペリオル鉱滓ダムが一気に決壊する可能性は低くなったとの見方が出ている。
 北側斜面崩壊の可能性が高まっている事は、斜面が動く速度が日増しに加速している事からも明らかだ。ミナス州検察局は16日、19~25日に斜面崩壊とその振動による鉱滓ダム決壊が起きうると発表した。この時点での斜面が動く速度は1日7センチ程度だったが、27日夕刻から28日昼過ぎにかけてのずれは18センチ~20・1センチだったという。ただ、場所によっては、24・5センチずれたところもあるという。同じ箇所の1週間前のずれは10センチだったというから、斜面の動きは明らかに加速している。
 他方、斜面とダムの双方を24時間体制で観察しているVale社の担当者によると、斜面が崩壊する場合も、部分、部分で崩れる可能性が出てきた上、現在は大きな水溜まりとなっている鉱山中央部に雪崩落ちる可能性があり、鉱滓ダムの決壊を引き起こすほど大きな衝撃は生じないかも知れないという。
 同社によると、斜面の動き(ずれ)に気づいたのは2012年で、最近までのずれは、年10センチ程度だった。それが、4月以降は1日5センチになり、5月19日以降は1日7~10センチに達していた。現在はそれが20センチに達しており、斜面崩壊はいつ起きても不思議ではない。
 ただ、当初は北側斜面が一気に崩壊して強い振動が生じるし、崩壊した斜面の土砂(実際は岩壁)がスル・スペリオルダムとの間を隔てる南側の斜面を壊して土砂や水がダムに流入する可能性があるから、ダムが決壊する可能性大と見られていた状況に変化が生じた。
 部分崩壊の形になれば、南側の斜面が崩れる可能性や鉱山内の水が大量にダムに流れ込む可能性は低くなり、ダムの中に溜まっている鉱滓が液状化現象を起こすほど強い振動も起こらずに済むと思われるからだ。
 北側斜面が少しずつ崩壊する可能性が言われ始めた事で、バロン・ダ・コカイスでは郵便局や銀行も営業を再開したが、避難所生活者が町に戻れない状態は継続。町に残る住民も、ダム決壊と鉱滓の波に襲われる恐怖を感じつつ、日々の営みを続けている。(28日付G1サイトなどより)