《サンパウロ市》麻疹の予防接種キャンペーン=患者の多い15~29歳が対象

予防接種を受ける女児(Marcelo Camargo/Agência Brasil)

予防接種を受ける女児(Marcelo Camargo/Agência Brasil)

 サンパウロ市保健局が、6月10日~7月12日に、15~29歳の青少年を対象とする麻疹(はしか)の予防接種キャンペーンを行う事を決めたと29日付現地紙が報じた。
 特別キャンペーン実施と対象は、州保健局の主導で決まった。実施を決定付けたのは、ここ2週間の間に7人の患者が新たに確認された事だ。今年に入ってから発生したサンパウロ市での麻疹患者は計14人で、患者発生は市中央部のイジエノポリスと市東部に集中している。
 州保健局感染病予防センターのレジアネ・デ・パウラ氏によると、サンパウロ市での患者発生に関しては保健省とも協議済みで、予防接種カレンダーで対象となる幼児用以外に、350万人分のワクチンが送られる。
 州保健局が保健省と協議を始めたのは、サンパウロ市は国外や州外の人も含めた玄関口で、国内外の人が大勢行き来するから、同市で患者が発生すれば域内感染や他の地域への感染拡大に繋がる可能性が高いため、早い時期に対策を講じる必要があると判断したためだ。
 キャンペーンの対象者を15~29歳としたのは、この層の幼少期の予防接種率が他の年齢層より低かったからだ。麻疹とおたふく風邪(流行性耳下腺炎)、風疹の3種混合ワクチンは、生後12カ月と18カ月で接種するのが普通だが、2度目の接種を受けそびれたりして、免疫ができていない例がままある。
 サンパウロ市で確認された麻疹患者の内、イジエノポリスでの7人は家族で、1人がイスラエル旅行中に感染し、家族にも広がった。この場合は域内感染とはみなされない。
 他方、市東部での患者は同地区の大学で勤務する1人の教授が発症し、治療に当たった医師1人と大学に通う人3人に感染が広がった。また、生後8カ月の教授の娘も感染が確認された。教授は州外に出ておらず、域内感染とみなされる。
 14人目の患者はノルウェーに旅行した後に発症しているが、居住区は明かされていない。
 患者は全員、順調に回復しており、死者は皆無だ。サンパウロ市以外の市での麻疹患者は、観光船の乗員乗客を含むサントス市での21人(域内感染者も発生)とオザスコ市で確認された1人で、いずれも死者は出ていない。
 なお、保健省は20日に、6月10日から全国キャンペーンを行う意向も表明している。この時点の感染者数は、パラー州83人、サンパウロ州27人、アマゾナス州4人、サンタカタリーナ州とミナス州各3人、リオ州2人、ロライマ州1人だった。この時点では、パラー州の27人のみが域内感染とみなされていた。昨年1~5月の麻疹患者は117人で死者も2人で出ていた。