《ブラジル》国内難民の多くが平均より高学歴=大卒者が3分の1以上

能力も意欲も高い人々を上手く活かすことが求められる(Rovena Rosa/Agencia Brasil)

能力も意欲も高い人々を上手く活かすことが求められる(Rovena Rosa/Agencia Brasil)

 国連の難民高等弁務官事務所(UNHCR)が行った、「ブラジル在住難民たちの社会的、経済的実態調査」が30日に発表されたと、同日付現地各紙・サイトが報じた。
 多くの難民はブラジル人の平均を上回るレベルの教育を受けているが、自国での学位が認められず、労働市場で自分の専門性や強みを活かせていないことや、不況による就職難のあおりをブラジル人よりも強く受けていることが分かった。
 ブラジルでは、法務省から難民認定を受けるのにおよそ2年ほどかかる。2018年末までに難民認定を受けたのは1万522人で、内5千人ほどがブラジルに残っている。調査対象者487人の7割以上は、シリア、コンゴ、アンゴラ、コロンビアからの難民だ。最近大量にブラジルに入ったベネズエラ人の多くは、難民申請手続きが終わっておらず、対象に入っていない。
 難民の34・4%は大卒で、ブラジル平均の15・7%の倍以上だ。また、文字が読めない、中学校を終えていない難民は3・3%で、ブラジルの41%の10分の1以下だ。しかし、「自分の専門、職業的スキル、知識が現職に活かせている」とした難民は31・8%にすぎない。失業率も19・5%で、ブラジル平均の12・4%より上だ。
 自国で取得した学位をブラジルでも認められた人は14人(2・8%)しかいなかった。
 UNHCRのパウロ・アルメイダ氏は、「難民はブラジル社会にもっと貢献できる潜在力がある。彼らの多くはバイリンガル(二カ国語併用者)でもある」と語っている。