道南口説節・江差追分大会9日=海藤さんに聴きどころ聞く

海藤、松浦、ハーデス、桑田さん(左から)

海藤、松浦、ハーデス、桑田さん(左から)

 江差追分会ブラジル支部(馬欠場鉄巨支部長)は6月9日午前9時から『第19回道南口説節コンクール』を、同日午後から『第30回江差追分ブラジル大会』を宮城県人会館(Rua Fagundes, 152, Liberdade)にて開催する。
 入場無料。両大会あわせて50人の民謡家が出場予定。江差追分大会優勝者には北海道江差町で9月に催される『第57回江差追分全国大会』への出場権が贈られる。
 5月30日、大会案内のため松浦アントニオブラジル日本民謡協会副会長、海藤司江差追分会ブラジル支部相談役、桑田マルシオ指導員、尺八奏者のハーデス・グラウコさんが編集部を訪れた。
 道南口説節は、ニシン漁が活況だった江戸~明治時代の函館に渡った瞽女(盲人芸能者)が歌った民謡。「私ゃこの地の荒浜育ち 声が悪いのは親譲りだよ 節の悪いのは師匠無い故に 一つ歌いましょうはばかりながら」と始まる。荒浜は新潟の地名で、荒浜出身の瞽女が函館で主と別れ、松前城下まで流れ行く様を歌い上げる内容となっている。
 歌の聴きどころについて海藤相談役は「口説節は、自分の人生を歌い聞かせるもの。昔の瞽女さんは歌で聴衆を口説いて生計を立てていた。聞く人の心に響く歌になっているかが大事」と解説。また「三味線の調子は、歌の成り立ちに反して軽快で明るい。3拍子でも4拍子でもない独特なリズムは北東伯音楽にも似ているので注目して欲しい」と語った。
 江差追分もニシン漁が盛んだった当時の江差町で生まれた歌。日本中から出稼ぎに来た漁師達が遠く離れた郷土への思いを込めて歌い始めた。
 歌詞は「カモメのなく音に ふと目を覚まし あれが蝦夷地の山かいな」と短い。この短い歌詞を情感を込め、尺八の伴奏とともに2分50秒かけて歌いあげる。
 聴きどころについて海藤相談役は「〝息遣い〟に注目すると面白い」と解説。「『かもめの』の一節は、30秒かけて一息で歌う。その一息の〝息遣い〟で、かもめの鳴き声や大きな波、小さな波の寄せる音を表現する。江差追分は歌詞が短い分、〝息遣い〟の一つ一つで感情や情景を表現していくので注目を」と話した。江差追分は北海道の無形民俗文化財に指定されている。
 来社した一行は「普段馴染みのない方も是非来て頂ければ」と呼びかけた。問合せは、海藤相談役(12・8125・0018)まで。

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 江差追分会ブラジル支部は今年で創立30周年を迎える。10月には記念式典を予定しており、江差町から照井褒之助町長を始め、民謡使節団が来伯する予定だ。海藤相談役は「日本一の江差追分の歌い手に来てもらえるよう準備しているので楽しみにしていて」と自信を覗かせる。ブラジル人への普及策に関しても準備を進めている様で、今後の動きに注目だ。