110周年記念事業=順調に進むパビリオン建設=国士舘大学スポーツセンター=基礎工事中、年内に竣工予定

建設中の原沢パビリオン

建設中の原沢パビリオン

 日本移民110周年記念のメイン事業の工事が順調に進行している。ブラジル日本文化福祉協会(石川レナト会長)はサンパウロ州サンロッケ市の「文協総合センター」(国士舘大学スポーツセンター)再開発の一環として「原沢パビリオン」建設の起工式を4月に始め、現在は基礎工事の終盤に差しかかっており、年内には竣工予定だ。

 同パビリオンの工事は2階建ての骨組みができあがり、現在は各階の床面にコンクリートを流し込むための型枠を施工中。今月中にはコンクリートを流し込む工程に入る。これを終えれば基礎工事は完了し、屋根の建設などに着手する。
 同パビリオンは2階建てで延べ床面積は約1500平方メートル。地階は飲食店などの商業施設を誘致する。1階は壁を設けず開放し、展示会や結婚式などで使用される予定。また周辺の土地を1階の床の高さに合わせて整備する計画も立っている。
 菊地義治110周年祭典実行委員長は「国士舘は今、年に数回のイベント会場でしかない。でも将来的には日系企業の先進技術の展示や、日本の若いアーティストを招待して音楽祭を開催するなどし、ここを新たな日本文化の中心地、発信拠点にしてほしい」と期待を示した。
 文協は同センターを使って、桜祭り、マレットゴルフ大会などを開催し、イベント会場の賃貸料を得ている。しかし維持費の方が高く、万年赤字経営。再開発を機に、黒字収益を維持できる施設を目指す。
 現在幹線道路から同センターを繋ぐ道路も拡張工事中だ。文協の水本セルソ典満専任理事によれば、センターに繋がる舗装された道路は現在1本のみだが、将来的には3本に増え、アクセスが改善されるという。
 同パビリオン建設と周辺土地の整備に係る総予算は300万レアル。故・原沢和夫氏の遺族による100万レアルを含む250万レアルが、菊地氏らの尽力により集まっており、残りは文協が資金を用意する。
 同センターの敷地は58ヘクタール。敷地の3分の1が原生林で、3つの池があり、約400本の桜が植えられている。体育館やマレットゴルフ用のホール、テニスコートも設営されている。
 元々は日本の国士舘大学がブラジルの大学創立を目的に、80年から土地を徐々に買い取ったもので、82年には約2千平米の体育館も建設。しかし経済的理由から97年に文協へ寄贈された。

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 ブラジル日本移民110周年祭典実行委員長を務めた菊地義治氏は、宮内庁に『「感謝と希望」ブラジル日本移民110周年記念祭典事業報告書』(移民110周年記念祭典委員会)と、本紙が刊行した『日本文化』シリーズの第9巻特別号『ブラジル日本移民110周年記念 眞子さまご来伯記念写真集』を送ったところ、お礼のメールがあったとのこと。眞子さまは今年、移民120周年を迎えるペルーとボリビアを公式訪問されるかもしれない。ぜひ南米への良いご印象を持ち帰って頂きたいもの。
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 菊地氏は国士舘大学スポーツセンターについて「自然豊かな良い土地で、立派な体育館もあるのに数十年間あまり使われず、赤字経営のままで勿体なかった」と漏らしたが「再開発委員会(佐々木ワルテル委員長)が頑張ってくれて、ようやく良いものになろうとしている」と明るい表情を見せた。過去、木多喜八郎文協会長時代に大規模再開発計画を立てたものの、予算500万レアルが集まる目処が立たず頓挫した歴史がある。今度こそ日系社会のシンボルとなれるか?!