《ブラジル》最高裁が少年院の収容者に上限設定=4州が未成年の犯罪者を釈放

最高裁(José Cruz/Agência Brasil/Arquivo)

最高裁(José Cruz/Agência Brasil/Arquivo)

 最高裁のエジソン・ファキン判事が、少年院の収容者は収容人数の119%までとするよう命じた事を受け、リオ、ペルナンブコ、セアラー、バイアの4州が軽犯罪で収容されている未成年の犯罪者を釈放し始めたと13日付フォーリャ紙などが報じた。
 4州の少年院の収容人数と実際の収容者数を見ると、リオ州は891人に対し1645人(185%)、ペルナンブコ州は774人に対し1059人(137%)、セアラー州は740人に対し871人(118%)、バイア州は552人に対し631人(114%)となっている。
 12日までに釈放されたのは、ペルナンブコ州55人、リオ州11人、セアラー州20人で、近日中の釈放予定者は、セアラー州60人、ペルナンブコ州47人、バイア州16人となっている。
 10日付のアジェンシア・ド・ラジオ・マイスは、リオ州では窃盗や盗品の受託、武器を使わない麻薬密売、家宅侵入などで補導した少年400人を釈放の見込みというが、700~800人との報道もある。
 リオ州では、犯罪行為を点数化し、低ポイントで、家族や住居の有無が明確な収容者を優先して釈放するという。
 誰を釈放するかは各州の裁判官が判断するが、1人の判事が全収容者を審査するリオ州では、対象者の確定、釈放に約1カ月かかる見込みだ。
 ペルナンブコ州での釈放は、超過密状態を解消するために最高裁の決定前に行われた集団審理によるもので、最高裁の指示によるものではない。同州の少年院の収容人数は285人分不足しており、アルコヴェルデ少年院は収容人数21人に対し47人を収容中だ。
 リオ州検察局はファキン判事の決定後に控訴しており、25日の大法廷で同件に関する審理が行われる。ファキン判事の裁定が覆った場合は、釈放された少年達を再収容するための捜索令状が出される事になる。
 少年院や刑務所が超過密状態である事は従来から問題視されている。13日付G1サイトは、全国の刑務所の半数は超過密状態で、管理体制なども整っていないため、刑務所内で犯罪組織が拡大し、実質支配する事態が生じていると報じた。近年の刑務所での暴動や殺人事件増加も、こういった傾向を反映している。